今回は、2000年11月に発売されたHGUC 1/144 MS-09F ドムトローペンのレビューをご紹介します!
HGUCドムトローペンは、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場するMS『MS-09F ドムトローペン』の1/144スケールモデルキットです。局地戦用に開発されたドムの特徴的な機体形状を新規造形で再現。肘関節とバズーカグリップの可動により、劇中らしい、ラケーテン・バズを肩に担ぐポーズが再現可能なキットになっています。ラテーレン・バズ、ヒート・サーベル、予備マガジンといった武装も付属。価格は1,650円(税込み)です。
ドム・フュンフをベースに熱帯地方や砂漠地帯への最適化を目的に再設計された機体で、オーストラリアのトリントン基地襲撃、ガンダム2号機奪取の際に投入されたMS『ドムトローペン』がHGUCでキット化。ドム系特有のマッシブな機体形状に加え、ホバーユニットやダストフィルターといった熱帯、砂漠地に対応したユニットが新規造形で再現されています。『トローペン』はドイツ語で『熱帯』という意味。(英語では『トロピカル』。)
成型色はダークブルーやパープルを基調としたドムカラー。その他、頭部や肩部、腹部パーツがレッド、腹部や関節・内部パーツがブルーグレー成型色での再現となっています。ラケーテン・バズやマガジン類はダークグレー成型色での再現。
シールは頭部モノアイを補うくらいでわずか。脚裏などを塗り分ける必要がありますが、各部ともパーツでの細かい色分けが再現されているので組み立てるだけで十分な仕上がりになります。
ABSやKPSは不使用。殆どのパーツはPS素材で構成されているので塗装はし易いかと。
ポリキャップはPC-123プラスを全身の関節各部に使用します。関節強度はまずまず高め。特に負荷のかかる装備はなく、脚底も広く接地がしっかりとしているので自立も安定します。ポリキャップが露出しないよう、肘・膝関節にはカバーパーツが使用されているのも特徴の一つ。
ラケーテン・バズ、ヒート・サーベル、ラケーテン・バズ用マガジン3種が付属します。
ドム・トローペンの各部を部位ごとに見ていきます。
頭部。ドム特有の山型シルエットと十字型のモノアイが特徴的に造形。シャープな赤いフレームや部分的なモールドが造形されるなど洗練された感しもありますね。通常のドム(ピンクモノアイ)とは異なり、モノアイはグリーンでの再現となっています。
頭頂部にはサブセンサーが造形されていますが、見本では特に塗装はされていませんでした。
メット部は前後の組み合わせで合わせ目はなし。
頭部裏面には動力パイプが造形。首はポリキャップですが、殆ど見えないので塗装の必要はなさそうです。
モノアイは黒いシールを貼り、その上にグリーンのシールを貼っての再現。モノアイの可動を表現する場合は赤いフレームパーツを外し、グリーンのシール位置を貼り替えて表現するのかなと思いますが、シールが折れてしまうのできれいなままにしておきたい場合は難しいですね。
胸部は曲状のマッシブ感あるデザイン。腹部のコックピットハッチも赤いパーツできっちりと色分けされています。右側にある拡散ビーム砲(ビームポイント)は赤く塗り分けが必要。
腰部は各面ともシャープで厚みのある装甲が造形。表面にはラケーテン・バズ用マガジンのマウント穴がありますが、一応デザインされたモールドのように造形されています。
リアアーマー中央にはホルダーが造形されていますが、MMP-80 90mmマシンガンが付属していないのでマウント出来ず。特に用途はないようです。(MMP-80 90mmマシンガンはHGUCドム・トローペン サンドブラウン)に付属。
腰アーマー裏にモールドなどはなく、表面の形状に沿った形。全体的にフラットですが、凸モールドがあるので裏打ちパーツの自作ではやや邪魔になる可能性も。リアアーマーの内側にサンドブラウンやUC版で造形されているバーニアはありません。
腕部はドム系特有の細マッチョなデザイン。特別派手な起伏はなく、程よい肉付きで造形されています。
二の腕は筒型で合わせ目はなし。前腕は前後の組み合わせですが、合わせ目は段差モールド化されています。
肘関節はポリキャップ接続部にカバーパーツを被せることで、ポリキャップの露出が防げるようになっています。違和感がなく自然な形で造形されているのがいいですね。
ハンドパーツは人差し指のみが可動式。
ショルダーアーマーはインパクトのあるカラーリングで適度にモールドが造形。ダークブルー、赤い装甲共に前後の組み合わせで中央に合わせ目ができます。きっちり合わせ目を消したい場合は赤いパーツの後ハメなどが必要。
脚部もドム系特有の裾広がりな装甲が造形。ただドムよりも若干丸みが少なく、直線的なシルエットでデザインされています。
膝関節も腕部と同様、ポリキャップ接続部をカバーパーツでつなぎ合わせる形で、ポリキャップが露出しないようになっています。こちらも違和感のない造り。
大腿部は左右の組み合わせで前後に、膝から下は前側と左右の組み合わせで後面に合わせ目ができます。膝から分離するので、どちらの合わせ目消しもラクそう。大腿部は内外共に同形状ですが、外側の丸穴はパーツで蓋をするようになっています。(赤◯部分)
ソールはドム特有の薄平なデザインですが、熱帯、砂漠地に対応するための脚裏ホバーユニットやダストフィルターが造形。脚裏もホバーの形状やモールドが細かく造形された裏打ちパーツで蓋がされています。脚裏はダークグレーや中央スラスターをレッドなどに塗り分けが必要。
ダストフィルターは先端が吸気口のような特徴的なデザインですが、パイプのような部分は上下のモナカ割で合わせ目ができます。
バックパックは派手さのない、2ライン状のボックスタイプ。下部のバーニアは別パーツでの色分けとなっています。右側面にはヒート・サーベルホルダーがポリキャップ接続で造形。
バーニアのデザインはシンプルですが、内部には適度にモールドが造形されています。可動ギミックはなし。バーニア内部は赤く塗り分けが必要です。
2箇所の縦長ダボ接続なので、他キットのバックパックとの交換は出来ないようでした。
HG陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べてサイズを比較。見た目によらず小柄で陸ジムと同程度の全高になります。ドム・トローペンの全高は18.0m。
HGUCドム(HGUC MS-09 ドム/MS-09R リック・ドム)と並べて。シルエットは似ていますが、ドムトローペンはドムから何度も改良が重ねられていることもあり、各部の形状はだいぶ違っています。ですがドムのほうが後発で、モノアイには可動ギミックも搭載されています。
劇中で交戦したHGUCパワードジム、HGUC ザクII F2型(連邦軍仕様)とも並べて。多少発売時期に差がありますが、組み合わせてもそんなに違和感はなさそうです。同シリーズものではHGUCザメルがキット化されると嬉しいですね。
頭部はわずかに上下する程度。左右へのスイングも肩の装甲が干渉するので45度程度までとなります。
腕は水平まで上がらず45度程度までとなります。肘は1重関節で90度程度曲げることが可能。
肩は胸部からの固定軸接続なので、前後へのスイングギミックはありません。腹部に可動ギミックはなく、腰も太めの1軸接続で上半身の前後可動ギミックはなし。どちらの可動も画像は省きました。
腰はフロントアーマーなどが干渉しますが、上半身を少し引き抜くことで干渉が避けられ、360度回転させることができます。説明書に記載はありませんが、アクションベースやスタンドを使ってディスプレイさせる場合は股間部にコの字パーツを挟むことになりそうです。しっかりと固定されるわけではないので注意。
腰アーマーがあまり可動しないので、前後開脚は制限されてハの字程度まで。
膝も脚部装甲が干渉するのでくの字程度までしか曲がりません。
足首の前後可動もわずかに表情が変わる程度。左右へは内側に少し広めに可動するようになっています。外側へは殆どスイングしません。
左右への開脚はハの字程度まで展開することができます。
内股、がに股共に45度程度まで広めに可動させることができます。
立膝も少し表情が付く程度でしっかりと膝を付けることは出来ませんでした。
可動域の総括としては、肉厚な装甲が干渉することもあって全体的に可動域は狭め。少し表情が付けば良いかなという程度です。腰は深くまで回せたりするので、その辺りでうまく表情を付けたいですね。
880mm ラケーテン・バズ。ジャイアント・バズの給弾方式をマガジンタイプに変更した改良型大口径バズーカで、リック・ドム用に開発された武装になります。グレー成型色のみでの再現ですが、特に塗装の必要はなさそうです。
砲身部分は左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。
センサー手前には防弾用の装甲が造形。中央のセンサー穴もきっちりと開口されています。センサーはモナカ割で各面に合わせ目ができます。グリップは前後にスイング可能。
後部のマガジンは脱着が可能。マガジン自体もモナカ割で合わせ目ができます。付属のマガジンとの交換ギミックはありません。
ラケーテン・バズの予備マガジン3種。少し大きさが違っているのと、1個パーツ構成で裏面は肉抜き穴。裏面に『F』、『S』、『R』と印字があるので、リアアーマーへのマウントもこの記載を頼りに組み付けます。
配置は『F』がフロントアーマー、『S』がリアアーマーの側面、『R』がリアアーマー下部。
ヒート・サーベル。ドム系の機体が装備している棒状の加熱式実体剣になります。エネルギー消耗が激しいため、基本的には使い捨てとのこと。グレー成型色の1個パーツ構成なので、携行状態だとサーベル刃をホワイトに、抜刀状態だとピンクに塗り分ける必要があります。
背部のホルダーにマウント可能。ホルダーはポリキャップ接続で適度に向きを変えることができます。差し込んでもしっかりとは固定されずふらつきがあるのでちょっと気になるかも。特に外れることはなさそうです。
一通り武装して。
ラケーテン・バズはグリップをハンドパーツに差し込むだけで保持が可能。構えるだけでダイナミックな射撃ポーズを再現することができます。グリップとハンドパーツに多少隙間があるため、ややふらつきやすいので注意です。
グリップが可動するので、肩に担いで射撃するポーズもラクに再現可能。
装甲裏のグリップを使って両手持ちさせることもできますが、かなりぎこちないので注意が必要です。
あまり表情を付けなくても十分にかっこよさは伝わります。四肢を簡単に動かすだけでも重MSらしい重厚感あるポージングが楽しめるのがいいですね。
ヒート・サーベルはハンドパーツに差し込むだけで保持が可能。柄部分が細身でハンドパーツとの隙間が大きいので、抜け落ちないように注意しつつポーズを取らせます。
肩にスイングギミックがないため、ヒート・サーベルの両手持ちは難しいようでした。一応手を近づけることでそれらしく構えさせることは可能です。
腰を深くまでひねることができるので、ヒート・サーベルを振り下ろすようなシーンはかっこよく演出することができます。腰を落としすぎるとフロントアーマーがバラけることがあるので注意。腰にマウントしたマガジンはサイドのものだけポロリしやすかったです。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。重厚感あるシルエットで、簡単なポーズでも十分に様になりますね。地上をホバー移動するシーンやラケーテン・バズをぶっ放すようなシーンも少し形を作るだけでラクに再現が可能。作りは大味ですが、それを感じさせないくらいに造形がしっかりとしていますし、脚部ホバーユニットやダストフィルターなどもリアルに再現されています。
気になる点は、HGとしては初期のキットなので、全体的な可動域が狭く、四肢を大きく動かしたりすることは難しいです。干渉でフロントアーマーがバラけたり腰のマガジンがポロリしたりすることもあるので、気になる場合は補強しておくのも手ですね。
武器保持に多少遊びやふらつきはありますが、ラケーテン・バズを構えさせると圧倒的な迫力やダイナミックさが出ますし、構えるだけでも十分にかっこよく演出することができます。ヒート・サーベルでもザクF2型を切り裂くような劇中シーンをリアルに再現することが可能。ドムらしい重厚感とトローペンの局地特化型の機体形状によって魅力あふれるキットになっているのがいいですね。
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