今回は、トップコート、クリアー、つや消し各種を比較検証してみましたのでご紹介します!
ガンプラや模型製作では、よりリアルさを出すためにも、最後の仕上げに水性トップコートやラッカー系のスーパークリアースプレー、瓶のクリアーやつや消しなどを使って仕上げると思います。
これらは基本的に、塗装が剥げないようにしたり、劣化を防いだりするためによく使用されますが、初心者の方であれば、お手軽仕上げとしてヤスリがけ後の素組みガンプラにトップコートをしたり、上級者の方であれば塗装後につや消しを吹いたりと仕上げ方は作る人によって様々。
そしてこれらの仕上剤を使う場合に気になるのは、それぞれがどのような仕上がりになるのかということです。特に、コート後にヤスリキズが残っていたりすると目も当てられなくなります。
そこで今回は、トップコートやクリアー各種、スプレーなど比較的メジャーなコート剤(仕上げ剤)を集めて、それぞれがどういった仕上がりになるのか比較検証してみましたので、ガンプラや模型製作の参考にしていただければと思います。
■■今回比較する仕上げ剤■■
今回比較するトップコート、クリアー、つや消し各種は以下の通りです。(画像をクリックすると大きい画像がご覧いただけます。)
◯水性トップコート『光沢』『半光沢』『つや消し』『プレミアムトップコートつや消し』
水性トップコートは左から『光沢』、『半光沢』、『つや消し』、『プレミアムトップコートつや消し』を用意しました。
『つや消し』は一番メジャーで皆さんよく使用されることと思います。スプレーなので簡単かつ手軽にキレイな仕上がりになる人気の仕上剤。『プレミアムトップコートつや消し』はその上位版ですが、自分は初めて使うのでどのような仕上がりになるのか楽しみです♪
◯ラッカー系スプレー『Mr.スーパークリアーつや消し』『Mr.スーパークリアー半光沢』
ラッカー系スプレーからは『Mr.スーパークリアーつや消し』と『Mr.スーパークリアー半光沢』を用意しました。
ちなみになぜラッカー系と水性トップコートの2種類の仕上材があるのかというと、素組みに直接スプレーする場合、ラッカー系だとパーツを侵食してしまう恐れがあるからです。つまり、コート剤がパーツのキズや隙間から入り込んで割れてしまうことがあるんですね。なので素組みの場合は水性トップコートをすることで、パーツにストレスを与えることなく仕上げることができると言うわけです。(水性なのでパーツに優しいです。)
一方、パーツを塗装してから仕上げ剤でコートする場合は、塗膜がパーツを保護してくれるのでラッカー系スプレーでもパーツに影響なく仕上げることが出来ます。
◯瓶のクリアー系仕上剤『Ex-フラットクリアーつや消し』『スーパークリアーⅢ』『スーパークリアーつや消し』『スーパークリアー半光沢』『クリアー光沢』
そして瓶類のクリアー系仕上材。左から『Ex-フラットクリアーつや消し』、『スーパークリアーⅢ』、『スーパークリアーつや消し』、『スーパークリアー半光沢』、『クリアー光沢』です。
『スーパークリアーつや消し』、『スーパークリアー半光沢』はスプレーのものとほぼ同じですが、こちらは希釈濃度を変えることができるので、少し濃い目に吹きかけてみます。
■■比較検証方法■■
今回はキズをつけた厚さ1mmのプラ板に仕上げ剤を吹きかけ、それぞれの仕上げ剤によってどの程度キズが消えるのか、どういった仕上がりになるのかを検証していきます。
まずは仕上げ剤分のプラ板を用意し、400番と1000番の紙やすりでキズをつけておきます。(使用した紙やすりは切れてるヤスリ400番と1000番です。)そしてキズが目立つよう、つやありのブラックで塗装しておきます。
キズを目立たせるために使用した塗料はガイアカラーのEx-ブラックです。超オーソドックスなつやありブラック塗料ですが、量も多いので無駄に買う手間がなくていいです。
検証するプラ板です。こちらは400番の紙やすりでキズをつけたもの。プラ板に400と記載しておきました。400番でキズをつけたものはかなり傷跡が目立ちます。これをトップコートやクリアーなどでどこまでキズが消えるのか検証していきたいと思います。
こちらが1000番でヤスリキズをつけたものです。1000番は400番ほどキズが目立ちませんが、それでもやや傷跡がありますね。これは光沢系仕上げ剤では消えないレベルかもしれません。プラ板には1000と記載しておきました。
■■検証■■
それでは各コート剤を使用した後の仕上がりを検証していきます。
まずは水性トップコート『光沢』、『半光沢』、『つや消し』です。左から徐々に光沢が艶なしに変わっているのがよくわかりますね。
『光沢』・・・・・ちょっと画像ではわかりにくいかもしれませんが、1000番でヤスリがけしたキズはある程度消えているようです。ですがが違った角度からみるとちらほらキズが見えます。一方400番では見事にキズが残ってしまっていますね。なので『光沢』を使う場合、1000番でヤスリがけしてもなんとかなりますが、それよりも目の細かい1200番や1500番などでヤスリがけして仕上げるのがいいですね。
『半光沢』・・・・・こちらも『光沢』と似ていて1000番ではだいぶキズが消えていますが、400番ではかなりキズが残っています。なのでこの『半光沢』を使って仕上げる場合、1000番でもギリギリ大丈夫かとは思いますが、違う角度から見るとわずかにキズがあるようなので、こちらも念のため1200番以上でヤスるほうがいいですね。
『つや消し』・・・・・400番だと僅かにキズが残っているようですが、1000番だとほぼキズが消えています。400番でも重ね吹きすれば完璧にキズが消えそうですね。なので、これが一番人気でよく使われるのも分かります。やっぱり手軽で仕上がりもいいんですね。
ただ、この3種の水性トップコートは比較的ムラになりやすい印象です。この検証画像をみてもそれぞれにムラが出来てしまっていますし(自分が未熟なのもありますけど^_^;)粘度が弱く乾きにくいので少し使いづらかったです。吹きかけすぎるとすぐに白化してしまいます。なので、手軽で使い勝手がいいのですが、きれいに仕上げようとすると少しコツが必要なコート剤といえますね。
以下別の角度から撮影した画像です。
次に『プレミアムトップコートつや消し』とラッカー系スプレーの『Mr.スーパークリアー半光沢』と『Mr.スーパークリアーつや消し』です。
『プレミアムトップコートつや消し』・・・・・仕上がりは上記した水性トップコートよりもきめ細かくて美しいです。さすがプレミアムと名が付くだけのことはありますね。キズも400番と1000番どちらもほぼきれいに消えています。ただ、400番だとやはり角度を変えてみたりするとごく僅かにキズが残っているので、これを使用する場合も1000番・・・できれば1200番以上のものでヤスリがけしておくほうが良さそうです。(若干ムラがあるのはやっぱり水性だからでしょうね^_^;)
『Mr.スーパークリアー半光沢』・・・・・さすがラッカー系というべき仕上がりですね。400番だとだいぶキズが目立ちますが、1000番のほうは完全にキズが消えています。半光沢の仕上材としてはかなり優秀かと。乾燥が早いのでムラもないですし仕上がりもバツグンです。パーツを塗装する手間はありますが、塗装が多少雑でもこのコート剤がきれいに仕上げてくれそうです。
『Mr.スーパークリアーつや消し』・・・・・こちらも完璧。こちらは400番のキズまでも全てきれいに消してくれています。しかもムラも全くなく仕上がりもバツグン。パーツを塗装する手間はありますが、ヤスリがけなどの全体的な手間を考えるとこれが一番ラクできれいに仕上げられそうな気がします。若干仕上がりの色が白っぽく淡めになるので、そのあたりを考慮して塗装しておくといいですね。
ラッカー系は下の塗膜を溶かしつつコートするのと、速乾性があるので水性よりも圧倒的にきれいに仕上がりますね。一度使うと他のものには戻れないって感じです。欠点はラッカー系は水性よりも有害性が高いということなので、換気は十分にした上で使用するようにしましょう。
次は『Ex-フラットクリアーつや消し』、『スーパークリアーⅢ』です。
『Ex-フラットクリアーつや消し』・・・・・1000番のキズは消えていますが、400番はキズが残っています。ただ、1000番も違う角度から見るとごく僅かにキズが残っているようなので、1200番以上でヤスリがけしておいたほうが無難ですね。(ホントにごく僅かでほとんどキズが分からないので1000番でもいけそうですけど^_^;)仕上がりはラッカー系つや消しスプレーよりもきめ細かく繊細な表面になります。検証した中では一番仕上がりが美しいかも。好みの問題ですが、わずかに半光沢っぽい仕上がりにしたいならこれを使うと良さそうです。こちらは色味が淡くならないので、塗装した色がダイレクトに反映されるようですね。
『スーパークリアーⅢ』・・・・・ツヤッツヤに仕上がります。キズはどちらも残ってしまいますね^_^;なのでこれを使うなら必ず目の細かいヤスリがけが必要になります。ムラなく美しい表面に仕上がるので、検証した仕上剤の中では一番艶があって美しい仕上がりになるコート剤と言えますね。表面が滑らかすぎて指紋あとがかなり目立ちます^_^;
これらは瓶なのであまり馴染みのない方も多いかもしれません。比較的上級者向けって感じですかね~。Mr.うすめ液やレベリング液を使って希釈するわけですが、仕上がり状態は高いので、コストパフォーマンスや仕上がりの良さを考えるならこれらを使うといいと思います。
最後に瓶の『クリアー光沢』、『スーパークリアー半光沢』、『スーパークリアーつや消し』です。
『クリアー光沢』・・・・・オーソドックスなクリアーコート剤です。仕上がりは『スーパークリアーⅢ』よりも若干艶が弱いですが十分な仕上がりになっていると思います。ムラもほとんどないですね。エアブラシを使うと吹き出る量が調整できるので、スプレーよりも仕上がりが良くなります。400番も1000番もキズが目立つので、細かい目のヤスリがけが必要です。
『スーパークリアー半光沢』・・・・・1000番はある程度キズが消えていますが、400番ではキズがかなり残っています。スプレーでは1000番のキズはほとんど消えていたんですけどねぇ^_^; このスーパークリアー半光沢は入手して1年以上が経過しているので、劣化している部分があるのかもしれません。それか薄めすぎたかですね。このようにちょっとしたことでも変化してくるので、一つの事例としてご覧ください。
『スーパークリアーつや消し』・・・・・こちらはスプレーと同様に400番も1000番も見事にキズが消えています。仕上がり状態もほぼスプレーと同じ。頻繁に使ったりコストパフォーマンスを考える場合にはこちらを使用するといいですね。
検証は以上です。光沢や半光沢などで仕上げる場合はヤスリがけや塗装といった工程にやや手間がかかる感じですが、お手軽に仕上げたい場合はつや消しのスプレーなどをブシャーっと吹いておくとラクにいい仕上がりにできると思います。なので初心者の方には水性とラッカー系のつや消しスプレー(『水性トップコートつや消しスプレー』と『ラッカー系Mr.スーパークリアーつや消しスプレー』)をおすすめします。
それと、今回はヤスリがけ⇒塗装⇒仕上げ剤という比較的初心者の方が取り組みやすい手順で解説しました。ですがヤスリがけが面倒ならサフを吹いてから塗装して仕上げ剤で仕上げるという方法もありますし、エヴォホワイトやエヴォブラックといったサフの混じった下地用塗料を使うことでキズを消すこともできるので、レベルアップを目指す方は、今回の検証を踏まえつつ、より使い勝手の良いヤスリ、塗料、コート剤を使ってお好みの方法で仕上げてみてくださいね。
3 件のコメントがあります。
U.C.0063
on 2017年6月17日 at 23:13 -
nori様
今回は、トップコートの比較検証のご紹介ありがとうございます。
艶消しは400番のキズでも上手くカバー出来ていて、それほど神経質にならなくても大丈夫だとわかり
ビックリしました。500番で塗装面の処理をすれば塗装OKなら楽ですね (*^^)v
光沢仕上げは下地処理をシッカリやらないとやはりダメですね。
とても参考になりました。
ちなみに私事ですがスプレーでのサフ、トップコートは苦手です。
nori
on 2017年6月17日 at 23:44 -
コメントありがとうございます!
400番でヤスリがけしても物によってはキズが消えてくれるんですよね~(^^)
ただ、気温の変化や湿気具合でも変化するかもしれませんから、今回の検証が絶対的なものではないと思います。
参考までにご覧いただけたらって感じですかね~。
でも自分が使っているMr.スーパークリアーつや消し(瓶)はホントにキズをよく消してくれるので助かってます(^^)
XBONZE
on 2017年10月25日 at 09:34 -
初めまして
エアブラシでのトップコートについて知らべていてここにたどり着きました
水性ホビーカラーの瓶入りの塗料はどうでしょうか?
自分、エナメルも使用するのでラッカー系だと危険があるんですよね
また希釈率とかモデルまでの距離はどうなっていますか?
希釈率高めの距離遠目がいい結果になりそうな気がするのですが