HGUC ジェガン レビュー

今回は、2009年8月に発売されたHGUC 1/144 RGM-89 ジェガンのレビューをご紹介します!

HGUC ジェガンは、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場するMS「RGM-89 ジェガン」の1/144スケールモデルキットです。逆シャア版ジェガンの特徴的な各部形状を再現。ビーム・ライフルやシールドといった武装類の他、サーベルが着脱可能な右腰部ラック、開閉可能な左腰部グレネードラックといった装備が再現されています。価格は1,650円(税込み)です。

地球連邦軍の主力量産機であり、ジムおよび系列機の発展型MSで、劇中ではケーラ・スゥやハサウェイ・ノア、地球連邦軍兵が搭乗。第二次ネオ・ジオン抗争にて激しい戦闘を繰り広げた他、アクシズの落下阻止にも尽力した機体「RGM-89 ジェガン」がHGUCでキット化。

多数あるジェガンバリエーション機の原点(ベースキット)で、細身のシルエットやアーマーを持たない腰部、背部の可動式スラスターといった特徴的な機体形状が新規造形で再現されています。

成型色は大部分が淡めのグリーンで、襟部や脚甲にブルーグレー、顎や腹部、腰部、シールドのミサイル・ランチャーにレッドを配色。その他、頭部バイザーがクリアブルー、内部や関節、各部バーニアや武装類がグレー成型色での再現となっています。

ホイルシールは付属せず。一応マーキングシールが付属し、腰部V字などを補うようになっています。肩部や脚部ダクト、バックパックのバーニア内部などに塗装が必要ですが、組み立てるだけでも十分なくらいに仕上がります。

一部のグレー成型色パーツで、強度が必要な箇所のパーツにはABSが使用されています。なのである程度グリグリ動かしても耐えてくれます。ABSは塗装やスミ入れ時に破損、ひび割れが起こりやすいので塗装する場合は少し注意が必要。他のパーツはPS素材がメインです。

ポリキャップはPC-132を大部分の関節に使用します。肘、膝共にポリキャップとABSパーツ構成で関節強度はまずまず高め。背部に程よいサイズのバックパックを装備していますが、後方への負荷は少なく、足底の接地性も高いので自立は安定しています。

■付属品

シールド、ビーム・ライフル、武器持ち手(右)、ビームサーベル刃(長・短)が付属。

ロンド・ベルや地球連邦軍、機体番号などが収録されたマーキングシールが付属します。

■各部形状

HGUCジェガンの各部を見ていきます。

■頭部

頭部。派手さはないですが、クリアーブルーのバイザーや左側面のバルカン・ポッド、アンテナなどでメカニカルさを表現。メット部は合わせ目ができないパーツ構成になっています。頬のダクトはグレーに、とさか前後のセンサーはグリーン(ブルー)に塗り分けが必要。

バイザー内部は簡易的ながらも丸型のセンサーが造形。クリアパーツ越しでもディテールが確認できるようになっていて映えます。

■胴体部

胴体部。シンプルながらも胸部エアインテークや中央コックピットなど、連邦所属機らしいヒロイックさのあるデザインになっています。腰部に前後のアーマーはなく軽装。中央部はパーツで色分けされていますが、V字はマーキングシールの貼り付け、もしくは塗装による塗り分けが必要です。

右腰部にサーベルホルダー、左腰部に3基のグレネードラックを装備。サーベル柄は脱着が可能です。グレネードラックのハッチは開閉可能。

グレネードは3基が1個パーツ構成ですが、弾頭裏それぞれに組み付けダボがあるので切り離すなどしても問題はなさそうです。(固定強度は弱くなりそうですね。)裏面はそれぞれ肉抜き穴が造形。

股間部にはロールギミックがあり、脚部を柔軟に可動させることができます。

■腕部

腕部。全体的にモールドが少なく、派手さのない、量産機らしいシンプルなデザインで造形。ショルダーアーマーは逆シャア版特有のボリューム感のあるデザインになっています。

上腕は筒型で合わせ目はなし。前腕は前後の組み合わせですが、側面の合わせ目は段落ちモールド化されています。このあたりの造りにも無駄がなくて良いですね。

ショルダーアーマーは曲状で少しボリュームのあるタイプ。前後の組み合わせで上部から側面にかけて合わせ目ができます。肩内部パーツを挟んで組み合わせるため、合わせ目を消す場合は後ハメやマスキング塗装などが必要。

側面のダクトは内部をグレーに、ふちをイエローに塗り分けが必要。ダクト内部にスリットは造形されていません。前面のアポジは周りをグレーに塗り分ける必要があります。

■脚部

脚部も腕部と同様、モールドが少なく派手さのないデザイン。ですが程よい肉付きで力強さも感じさせるものになっています。

大腿部は前後の組み合わせですが、側面の合わせ目は段落ちモールド化。膝から下も左右の組み合わせですが、後部の合わせ目は段落ちモールド化されています。形状に沿ったパーツ構成でうまくデザインされていて良いですね。側面のダクトは内部をグレーに、ふちをイエローに塗り分けが必要です。

足の付根は少しスイングが可能。高可動域を求める場合、HGBDジェガンブラストマスターのパーツを組み込むことでアップデートすることができます。(弊害として少し関節強度が弱くなります。)バーニア内部にはスリットモールドが造形。内部はイエローに塗り分けが必要です。

ソール部。大味なデザインですが、脚甲などもパーツ分割され、足裏も細かなモールドが造形。チープさがなく、浮かせてディスプレイさせる場合も映えるようになっています。つま先のモールドはイエローに塗り分けが必要です。

■バックパック

バックパック。大柄ですが、表面には細かなモールドも造形されています。ジェガン特有の3基バーニアも印象的に造形。

ジェガン本体とは2基の角型ダボ接続で、ジェガンバリエ機とは共通です。下部バーニアの内側にはスリットが造形。イエローに塗り分けが必要です。

可変式スラスターは2個パーツ構成ですが、合わせ目ができないパーツ構成になっています。スラスター内部はグレーに塗り分けが必要。

可変式スラスターは前後にスイングが可能。表情を変化させることができます。

■他キットとの比較

HGUC陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べてサイズを比較。HGキットとしては中間サイズ。ジェガンの全高は20.4m(頭頂高:19.0m)です。

手持ちなところでHGUCジェガン(エコーズ仕様)コンロイ機と並べて。同じジェガンでも、タイプが違うので各部形状もだいぶ違っています。(エコーズ仕様はD型)。

HGUCジェガンD型と並べて。D型は渋みのあるグリーンですが、このジェガンの逆シャア版なのでやや淡めのグリーン。各部の形状も細かく違っています。逆シャア版はジェガンの始祖という立ち位置で感慨深いものがありますね。

HGジェガンD型(護衛隊仕様)、HG EWACジェガンとも並べて。個性的なジェガンが多数キット化されていますね。

MGジェガンとサイズを合わせてプロポーションを比較。プロポーションはほとんど変わらない印象。モールドなどの情報量はMGのほうがあって色分け再現度も高いですが、HGは少し細身でスタイリッシュです。小型なので取り扱いもラク。

■各部可動域

頭部の可動は、あまり広くはないですがそれなりに上下させることができます。左右への可動は、多少顎と襟が干渉しますが水平にまでスイングさせることができます。

腕はY字程度まで上げることが可能。肘は1重関節で90度程度曲げることができます。

肩はわずかに前後する程度。

腰部ボールジョイントにより、少し引き伸ばすことで上半身を少し前後スイングさせることができます。

腰は45度程度回転可能。バックパックと腰アーマーが干渉するのでこの程度になります。浮かせてディスプレイさせる場合は、アクションベースやスタンドの3.0mm軸を股間部に差し込みます。

前後開脚は共に水平まで幅広く展開させることができます。

膝は2重関節で、ある程度深くまで曲げることができます。膝装甲裏に裏打ちパーツはなくやや簡易的。関節パーツ側面のの肉抜き穴が少し気になる感じですね。

足首は前後左右ともそれなりに可動します。

股間部がボールジョイントで干渉するため、左右への開脚はハの字程度までとなっています。

内股、ガニ股共に45度程度まで。

立膝はあまりきれいな姿勢で再現するのは難しいようでした。

可動域の総括としては、肘膝はある程度深くまで曲げることができますし、その他の箇所も特別広くはないですがまずまず可動させることはできます。多少左右への開脚幅が狭く躍動感あるポーズは制限されますが、他が可動するので不満なくポーズを取らせることができそうですね。

■武装類

シールド。厚みのあるジェガン特有の防御用実体盾です。攻撃を弾いたり逸らしたりする為の構造になっていて、表面には耐ビームコーティングが施されているとのこと。表面にモールドは少なくフラットな状態。

左右に2基ずつ装備されたミサイル・ランチャーが印象的。弾頭はパーツできっちりと色分けされています。

裏面には簡易的なモールドが入っています。中央のジョイントパーツはポリキャップ接続でロール可能。

ビームライフル。こちらもジェガンが標準装備する武装で、短銃身型のビームライフルになります。

本体部分は左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。マガジンの脱着ギミックはありません。

武装した状態でHGUC νガンダムと並べて。大きさにかなりの差がありますね。νガンダムの全高は24.2m(頭頂高:22m)です。

■ポージング

ビームライフルは付属の武器持ち手で保持させます。持ち手の手のひらにある溝にグリップのダボを組み付けて固定。ダボがしっかりと組み付けられるので安定した保持ができます。トリガーに指を添えるタイプで造形的にも問題ありません。

全くポロリがなく、関節強度も高いのでポージングがはかどります。造形がいいので、簡単なポーズでもかっこよく決まるのがいいですね。

シールドはジョイントパーツを前腕に接続してから組み付けます。ジョイントパーツへの組み付け位置を変えることで配置変更が可能。側面と後面に配置できるようになっています。

腕を動かすとシールドがショルダーアーマーと干渉するので少し注意が必要です。可動域が特別広くないため、そんなに柔軟なポーズが取れるわけではないですが、このちょっとしたぎこちなさがまた量産機らしくて良いのかも。

ビームサーベル柄はやや短いですが、握り手内に隙間なく収まります。なのでそんなにスルッと抜けたりする感じはありませんでした。ただ、ハンドパーツの組み付け具合が甘いと隙間ができて抜け落ちるかも。

ビームサーベルを使ってのポージングもかっこよく決まります。ビーム刃とサーベル柄の組み合わせダボの強度が高く、抜き差しする際に破損しそうで怖かったです。抜き差し時にビーム刃のダボを曲げたり折ったりしないように少し注意。

適当に何枚かどうぞ。

以上です。2009年発売というちょっと前のキットですが、合わせ目などにも配慮されていますし、プロポーションも良く完成度の高いキットになっていると思います。多くのジェガンタイプのベースになっているだけあって、バリエ展開しても不満のないような仕上がりになっているのがいいですね。

気になる点はあまりないですが、さすがに近年のキットに比べると可動域がやや狭い部分があります。それと、できれば平手が付属すると、更にポージングの幅が広がって良かったでしょうね。

可動域の物足りなさは逆にレトロ感や量産機らしい味が出てくるのでうまく長所として捉えることもできますし、造形がいいのでポージングも様になります。成型色もおもちゃっぽさをあまり感じない色味でジェガンらしさが十二分に表現されていますし、改めて優秀なキットだと再認識できるのがいいですね。

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執筆者:nori
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