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HGUC ケンプファー レビュー

今回は、2008年8月に発売されたHGUC 1/144 MS-18E ケンプファーのレビューをご紹介します!

HGUC ケンプファーは、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場するMS『MS-18E ケンプファー』の1/144スケールモデルキットです。劇中イメージを追求し、腕・腰の広い可動域を追求。肩の引き出し機構により、ショットガンを両手で構えるなどのポージングが可能なキットになっています。ジャイアントバズーカやストック付きショットガン、シュツルムファウストといった武装類が付属し、背中や腰、ヒザの武装ラックに取り付け可能。価格は1,980円(税込み)です。

単機での対MS戦および敵防衛線突破能力に特化した強襲機として開発され、劇中にてガンダムNT-1と戦闘を繰り広げたMS『MS-18E ケンプファー』がHGUCでキット化。ブルーのカラーリングや各部にバーニアを装備した強襲機を意識させる特徴的な機体形状が新規造形で再現されています。「ケンプファー」はドイツ語で「闘士」という意味。

成型色は全身のブルーをメインに、上腕や各部バーニアなどにダークグレー、胸部や肩部などのスラスターにイエローを配色。その他、関節や内部パーツはグレー成型色での再現となっています。

シールは頭部モノアイや頭部アンテナ、肩部スパイクアーマーの白ラインを補うくらいでわずか。各部スラスターやバーニア内部などを塗装する必要がありますが、素組みでも大部分の色分けが再現されているので見た目に不自然さはありません。モノアイのシールは予備が付属。

肩部や肘関節、股間部など強度が必要な箇所にはABSが使用されています。KPSは不使用。

ポリキャップはPC-132Bを全身各部に使用します。関節強度はまずまず。特別負荷のかかるような装備はなく、自立は安定しています。

ジャイアント・バズ✕2、ショットガン✕2、シュツルム・ファウスト✕2、ビームサーベル(ビーム刃、柄)✕2、チェーン・マイン、ジャイアント・バズ用マウントパーツ✕2、ショットガン用ストックパーツ✕2、ショットガン用マウントパーツ、シュツルム・ファウスト用ジョイントパーツ✕2、武器持ち手(左右)、平手(左)が付属。

連邦軍やサイクロプス隊のエンブレム収録されたマーキングシールが付属します。

頭部は曲状の装甲と額のブレードアンテナが印象的。V字状のモノアイスリットもケンプファー特有の厳つさを感じさせるデザインになっています。アンテナの白いラインはシールでの色分け。少し浮きやすいので注意です。こめかみの60mm頭部バルカン砲はグレーに塗り分けが必要。

メット部は合わせ目が出来ないパーツ構成。

モノアイはピンクのホイルシールでの再現で、位置を貼り替えることで左右への可動を表現するようになります。何かしら可動ギミックなどで再現されていると良かったですが、だいぶ前のキットなのでその辺りは致し方ない部分なのかなと。

首はボールジョイント型パーツで基部が前後に少し可動します。襟周りの動力パイプなども細かく造形。

胸部はマッシブ感のあるデザインですが、前面のスリットや側面のスラスターなどもグレー、イエローパーツで細かく色分けされています。それでいて合わせ目が出来ないのはなかなか秀逸。腹部動力パイプも細かなパーツ構成での再現となっています。

腹部も円形状で特徴的。胸部はボールジョイント接続で幅広く前後させることができます。

腰部は軽装でフロント・リアアーマーなどもありませんが、大腿部にはメインスラスターを持つ装甲を装備。装甲には縦状のスリットも入っていてデザイン性の高さやミリタリー感のある作りになっています。中央前後の角型ダクト内部はイエローに塗り分けが必要。

メインスラスター内部も細かなモールドが造形。内部はイエローに塗り分けが必要です。

腕部。ジオン系機らしい曲状装甲がデザインされています。前腕には細かな丸モールドが入るなどミリタリー感の強い作りに。上腕などもパーツ分割で細かく色分けされています。

上腕、前腕ともに合わせ目が出来ないパーツ構成。見た目的にも落ち度のない作りになっています。

右ショルダーアーマーはケンプファー特有の幅のあるデザイン。側面の3基スラスターはイエロー成型色パーツでの色分けが再現されています。前後の組み合わせで上部に合わせ目ができるので、処理する場合はスラスター部分を後ハメなどする必要があります。

ショルダーアーマーはボールジョイント接続でフレキシブルに可動します。

左ショルダーアーマーは右と構造はほぼ同じですが、こちらには3本のスパイクが造形されています。側面スパイクの白いラインはシールでの色分け。こちらのショルダーアーマーのほうが迫力がありますね。

脚部もジオン系機を想起させるような曲状で起伏のあるデザイン。

大腿部、膝から下ともに左右の組み合わせですが、中央の合わせ目は段落ちモールド化。膝下の後部裾に少し合わせ目ができる程度です。

脚部裾のバーニアは別パーツ化。内部はイエローに塗り分けが必要です。側面のスラスターは特に別パーツ化されておらず、こちらもスラスター口や凹み部分をイエローに塗り分ける必要があります。膝の装甲は少し前後に可動。

ソールは2爪のつま先など、全体的に大柄で野性味のあるデザイン。構造自体はポリキャップを挟んでの3個パーツ構成でシンプルですが、脚裏はモールド入りの裏打ちパーツで肉抜き穴などのないしっかりとした作りになっています。

バックパックはほぼスラスターのみで軽装。ですが丸モールド入りの装甲などで印象的にデザインされています。

下部のバーニアは大小3基。それぞれ別パーツ化されています。内部はイエローに塗り分けが必要。

HG陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べてサイズを比較。大きくも見えますが、HGのキットとしては標準サイズ。ケンプファーの頭頂高は17.7mです。

劇中で交戦したHGUCガンダムNT-1(アレックス)と並べて。ケンプファーのほうが4年ほど後発。アレックスはケンプファーと並べるとだいぶ古い感じがあるので、できればリメイクなどされると嬉しいですね。

その他、同シリーズで劇中でも交戦したHGUCジム・スナイパーⅡHGUCガンキャノン量産型とも並べて。

MGケンプファーとサイズを合わせて比較。細部の作り込みは当然MGのほうが上ですが、プロポーションは殆ど同じでHGUCでも作りはしっかりとしています。成型色はMGのほうが少しグリーン味が強いです。

頭部は適度に上下することができます。左右へも干渉なくスムーズに幅広くスイングが可能。

腕は水平まで上がらず。ひじは1重関節で90度よりも若干深くまで曲げることができます。

肩は少し前後する程度。前方へは肩の関節部分が引き出せるので少しだけ広めにスイングします。

胸部と腹部のボールジョイント接続部によって上半身を適度に前後させることができます。

腰は干渉なく360度回転可能。アクションベースやスタンドを使ってのディスプレイは、股間部のカバーパーツを外してポリキャップ穴を露出。3.0mm軸を差し込みます。

前後開脚は、フロントアーマーがないぶん前方へは幅広く展開させることができます。後方は大腿部のメインスラスターが干渉するため、やや制限されます。

膝を曲げる角度はくの字程度まで。こちらも後部のメインスラスターが干渉して可動が制限されます。

足首は前後に広めに可動。左右へは脚部装甲なりの可動となります。

左右への開脚は、股間部がボールジョイント接続でハの字程度まで展開。

内股は殆どできず、がに股も45度程度までとなります。

膝が深くまで曲がらないので、立膝も不自然な形になります。

可動域の総括としては、全体的にまずまずかなといった印象。特別広く可動する箇所はないですが、腰部周りが軽装なのでその分ぎこちなさなどはなく、柔らかい動きが再現できそうではありますね。膝があまり曲がらないのは気になりますが、劇中シーンの再現程度は問題なくできそうです。

ジャイアント・バズ。MSとしては最大級の威力を発揮する代表的な大型火器になります。リックドムⅡなどが標準的に携行するものと同型とのこと。

砲身、本体部分はグリップを挟んで左右の組み合わせの簡易的な構造で上下など各面に合わせ目ができます。起伏があるので合わせ目消しが大変ですが、形状に合わせてうまく処理したいところです。

側面のセンサーは細かなパーツ構成で合わせ目はなし。角型のスコープなども細かく造形されています。グリップは前後にスイング可能。

砲口は適度に開口。マガジン後部は✕字中央に合わせ目ができるので処理が難しめ。技術があれば削り取ってプラ棒で再造形なども。

バックパックにジョイントパーツを組み付けることで、ジャイアント・バズを背部にマウントさせることができます。マウントさせる際はグリップを前方に収納しておきます。

専用ショットガン。強襲用MSの専用火器として開発された武装で、弾体にはルナチタニウム合金を使用した00(ダブルオー)パックが使用されているとのこと。ポンプアクション式で、一つのカートリッジで9発ほどの弾頭が射出可能です。

こちらも砲身部分はモナカ割で上下に合わせ目ができます。銃口部分は別パーツ化。

後部のストックは組み替え可能。劇中でアレックスを襲撃した際のショートサイズのショットガンも再現することができます。

付属のジョイントパーツを組み付けることで、ショットガンをリアアーマーにマウントすることができます。固定強度はあまり高くはないですが、ずれ落ちるほどでもないようです。腕が当たっても外れることは少なかったですが、背を反らすとバーニアが干渉してジョイントパーツごと外れやすいので注意です。

シュツルム・ファウスト。一年戦争後期に多用されていた使い捨ての簡易型ロケットランチャーになります。MS用の武装としては当時最大級の威力を発揮するとのこと。

先端の弾頭部分のみモナカ割で合わせ目ができます。

膝装甲にジョイントパーツを組み付けることで、シュツルム・ファウストを脚部にマウントすることができます。ジョイントパーツは上下向きがあるので組間違えないように注意です。

チェーン・マイン。強力な炸薬を内蔵した嫌いを敵機に密着させ、その装甲などを破壊する特殊兵装になります。対象に取り付いたユニットのみが起爆し、それ以外のユニットは連結部から外れるようセットされているとのこと。

リード線に機雷を上下から挟む構造で、箇所によって機雷の形状が違っています。表面のモールドはすべての機雷が同じ向きになるように組み付けます。

一通り武装して。各武装を組み付けることで重装備仕様のケンプファーに変化。背部ジャイアント・バズがキャノンのような容姿になってなかなかのボリューム感とシルエットの変化を出しています。

ショットガンは付属の武器持ち手で保持します。ダボ固定などではないですが、ハンドパーツの組み合わせ強度が高いのでバラけることなくしっかりと保持させることができます。

後部ストックが長いですが、手首に角度がついているので前腕と干渉しないようになっていて持たせやすいです。

平手が付属するので、銃身に手を添えるようなシーン、ポンプアクションをするようなシーンも再現することができます。

各部の可動がポリキャップ接続でヌルっと動くので、あまり形状維持が安定しているとはいえません。ですがその分柔軟性はあるので、ポーズを取らせるのは割りとラクです。

ジャイアント・バズもショットガンと同じ武器持ち手での保持。こちらもダボ固定ではないのと、グリップが細身で少し抜けやすいので注意です。グリップが可動するので、肩に担ぐポーズはラクで再現しやすいです。

ジャイアント・バズを両手持ちさせると重厚感がハンパないですね。ジャイアント・バズが両手持ちできるキットはあまりないので、そういった部分ではケンプファーの特権と言えるかも。

シュツルム・ファウストは通常の握り手に持ち手部分を差し込んで保持します。ハンドパーツと持ち手には隙間ができるため、少しスルッと移動しやすいので注意です。

ビームサーベルを装備して。サーベル刃はクリアイエロー成型色での再現。設定通りの色分けとなっています。ハンドパーツと柄との間に少し隙間ができますが、抜け落ちるほどでは無いため、ポーズは取りやすいかと。

チェーンマインは通常の握り手で保持します。多少グリップとハンドパーツに隙間がありますが、グリップが角型で引っかかりやすいので保持はラク。各部の機雷もリード線にしっかりと組み付いているのでずれることがなく、アレックスに巻きつけるような演出もラクに再現することができます。

適当に何枚かどうぞ。

以上です。MGにも負けないくらいの造形バランスやプロポーション、合わせ目が露出しない細かなパーツ構成で、HGUCながらも完成度の高いキットに仕上がっています。各部の丸モールドやバーニアなどのディテールもしっかりとしていますし、組み合わせたHGUCアレックスが霞むくらい、ファンも納得の出来。武器も豊富に付属しているため、ポージングバリエーションを多彩に演出することができます。

気になる点は、細かいことですが、武器保持に多少遊びがあるのと、背を反らすとリアアーマーにマウントしているショットガンが外れやすいので注意です。関節がヌルっと動くため、地を這いながら移動するシーンは上半身が少し垂れやすいのも少し気になりました。それと武器の構造が簡素で大味な合わせ目ができるのも少し気になる点です。

チェーン・マイン、シュツルム・ファウスト、ジャイアント・バズといった劇中で使用した武装は一通り付属していますし、ショットガンも組み替えで劇中で使用した量形態が再現可能。チェーン・マインもしっかりとした作りで劇中シーンを忠実に再現することができます。同シリーズキットと組み合わせると、劇中シーンが蘇るくらいの高い演出力を持ったキットになっているのもいいですね。

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キットの組み立てには『ヌルっと切れる片刃ニッパー』を使用しています。薄刃ですが強度が高く長持ちするのでおすすめです。⇒ヌルっと切れる片刃ニッパーのレビューはこちら

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