今回は、2007年3月に発売されたHGUC 1/144 MS-14A 量産型ゲルググ / MS-14C ゲルググキャノンのレビューをご紹介します!
HGUC量産型ゲルググ/ゲルググキャノンは、『機動戦士ガンダム』に登場するMS『量産型ゲルググ』と、『機動戦士ガンダム MSV』より、MS『ゲルググキャノン』の1/144スケールモデルキットです。頭部やバックパックの差し替えにより、量産型ゲルググ、もしくはゲルググキャノンが再現可能なキットになっています。ビーム・ライフルやビーム・ナギナタ、3連ミサイルランチャー、バックラー・シールド、大型シールドといった多数の武装が付属。価格は1,760円(税込み)です。
ジオン軍がザクIIに代わる主力機として開発したMS『量産型ゲルググ』と、ゲルググにビーム・キャノン・パックを装備したバリエーション機『ゲルググキャノン』がHGUCでキット化。量産型ゲルググとゲルググキャノンのどちらかが組み立て可能なコンパーチブルキットになっています。こちらは量産型ゲルググ。
シールはモノアイとゲルググキャノンの額センサーを補うくらいでわずか。塗装もビームライフルのセンサーを補うくらいで、素組みでも十分な色分けが再現されています。モノアイは黒い部分を交えたシールとモノアイのみのものが付属し、お好みでチョイスするようになっています。
大型シールド、ビームライフル、ビームナギナタ(柄、ビーム刃✕2)、ビームナギナタ用マウントパーツ、武器持ち手(右)、平手(左)、指揮官機用の頭部パーツが付属。
ゲルググキャノン用の換装パーツ(頭部、指揮官機用の頭部パーツ、キャノンパック、3連ミサイル・ランチャー、バックラーシールド、ビーム・ナギナタ用マウントパーツ)が付属します。
上記換装パーツと組み替えることでゲルググキャノンに。説明書では量産型ゲルググ(一般機/指揮官機)もしくはゲルググキャノン(一般機/指揮官機)のどれかを選択して組み立てるようになっていますが、完成後でも組み替えは可能です。
まずは量産型ゲルググの各部を見ていきます。ゲルググキャノンや武装類のレビューをご覧になりたい場合は以下の目次からどうぞ。
■目次
・量産型ゲルググ
・量産型ゲルググの各部形状
・ゲルググキャノン
・ゲルググキャノンの各部形状
・他キットとの比較
・可動域
・武装類
・ポージング
量産型ゲルググ。一年戦争末期に実戦投入されたジオン軍第二期主力MSで、高性能ながらもパイロットの育成や生産・配備が間に合わず、学徒兵によって運用されたため大きな戦果を挙げる事が出来なかったとのこと。2006年10月に発売されたHGUCシャア専用ゲルググをベースに、量産型ゲルググのグレーをベースとしたカラーリングが再現されています。
成型色はグレーとダークグリーンを基調とした地味ながらも量産機らしいカラーリングが再現されています。その他、膝やソールはダークブルー、大型シールドやビームナギナタの柄はイエロー、関節や内部パーツはグレー成型色での再現。
関節や内部パーツ、ビームライフル、キャノンなどのパーツにはKPSが使用されています。以前の説明書ではABS素材になっていましたが、KPSに変更されたようですね。
ポリキャップはPC-116を全身各部に使用します。関節強度はまずまず高め。特別負荷のかかる装備はなく、接地面も広いので自立は安定します。
量産型ゲルググの各部を見ていきます。
シャア専用ゲルググのアンテナを持たないタイプ。フラットなデザインながらも細身でシャープなモノアイスリットや後頭部のとさかが印象的に造形されています。
頭部にはモノアイ可動ギミックがあるので、内部のモノアイパーツを可動させることでモノアイを左右に振ることができます。可動が少し固めなので注意。メット部パーツは分解しやすいので、モノアイパーツはラクに可動させることができます。
頭部パーツをアンテナ付きのものに組み替えることで、量産型ゲルググ指揮官機を再現することができます。シャア専用ゲルググのカラバリになりますが、アンテナが追加されたことで容姿に風格が出てきます。
胸部はエッジのあるシンプルな装甲で、下部のスリットダクトが印象的に造形。
腹部のコックピットハッチは別パーツ化されています。一旦はめ込むと取り外しが難しいの注意。腰部もサイドとリアスカートにスリット状のモールドが入っているだけでシンプル。上部にはスリットダクトが造形されています。
腰アーマー裏は簡単なラインモールドが造形。リアアーマーの内側には3基のメカニカルなバーニアも造形されています。3基のバーニア口は別パーツ化されているので、バーニア軸との色分けが可能です。サイドスカートはボールジョイント接続(赤◯)で適度に展開可能。
腕部。ショルダーアーマーは端が尖った装甲、二の腕以下は程よい肉付きの装甲が造形されたゲルググ特有のデザイン。
二の腕は筒型で合わせ目はなし。前腕は上下の組み合わせで側面に合わせ目ができます。肘から分離しないので、合わせ目を消す場合は後ハメなどが必要です。
ショルダーアーマーもモールドのないシンプルなデザイン。前後の組み合わせで上部は中央に、側面は端に合わせ目ができます。
ショルダアーマーは上部に展開可能。内側の造りも簡易的です。肩内部も合わせ目あり。
脚部。こちらも膝から下にスカートアーマーが造形されるなど、ドムやゲルググといった一年戦争後期のジオン系機に見られるデザイン。
大腿部は前後の組み合わせで側面に合わせ目ができます。膝から下は前側と左右の組み合わせで後部に合わせ目ができます。膝から分離しない構造なので、合わせ目を消す場合は後ハメなど複雑な作業が必要そう。
脚部外装の内側には簡単なパネルライン状のモールドが造形されています。見えない箇所もデザインされるなど、開発側のこだわりが感じられますね。
ソール部。シンプルなデザインで特別モールドなどもなし。
足裏はスラスターやラインモールドなどが細かく造形されています。脚部内部にはメカニカルな3基のバーニアが造形。内側は肉抜き穴ですが、各部がポリキャップ接続でフレキシブルに可動します。
背部にバックパックはなく軽装。シールドとビームナギナタ用のジョイント穴が造形されているくらいです。
続いてゲルググキャノンです。
ゲルググキャノン。通称『C型』で、通常の量産型ゲルググ(A型)にビーム・キャノン・パックを装備したバリエーション機になります。
背部にビーム・キャノン・パックを装備したことで攻撃性の高いキャノンタイプに変化。ビーム・キャノンの装備に伴い、頭部ユニットがセンサー強化タイプに変更されています。
右腕部には3連装ミサイル・ランチャー、左腕部にはバックラー・シールドを装備。
背部にビーム・キャノン・パックを装備していますが後方への負荷は少なく、自立は安定しています。
量産型ゲルググから変更された箇所を一通り見ていきます。
頭部はゲルググキャノン用にセンサー付きのものが新造。通常のゲルググ頭部に比べてやや面長になり、口元のデザインもスリット入りになっています。額センサーは赤いシールでの色分け。量産型ゲルググからまるごと取り替えるだけで変更可能です。
モノアイは通常の量産型ゲルググと同じ構造。上部パーツを外してモノアイパーツを動かすことで、モノアイを左右に可動させることができます。こちらは固定強度がそれほど高くないので簡単に左右に動かすことができました。
付属のアンテナ付きセンサーパーツに組み替えることで、ゲルググキャノンの指揮官機を再現することができます。
胴体部、腕部形状は基本的に量産型ゲルググと同じ。ただし右腕部には3連ミサイルランチャーを装備しています。量産型ゲルググから前腕の装甲を組み替えるだけで装着可能。
3連ミサイルランチャー。ゲルググキャノンの追加装備として開発。近接戦闘に効果的な武装であるため、Cタイプの腕部に装着されることが多かったとのこと。砲口や後部マガジンなども別パーツで細かく造形されています。特に可動ギミックはありません。
左腕部にはバックラーシールドを装備。こちらも量産型ゲルググから前腕の装甲を組み替えるだけで装着可能です。
バックラーシールド。近接戦闘時のポイント防御のために作られた追加装備です。ある程度の効果はあるものの、3連ミサイル・ランチャーのカウンターウェイトとして機能していたとのこと。シンプルな1個パーツ構成。裏面はガッツリ肉抜き穴ですが、装着すると肉抜き穴は隠れます。
背部にはビーム・キャノン・パックを装備。右側にRA-2型ビーム・キャノンを持つメカニカルな複合バックパックになります。開発の遅れていたビームライフルの代わりに採用されたオプション装備で、増加した自重を相殺するためのバーニアスラスター、プロペラントタンクがユニット化されているとのこと。
バックパック自体は前後の組み合わせで上部に合わせ目ができます。側面はキャノンの基部と装甲パーツを組み付けるので合わせ目は隠れます。後面の動力パイプは別パーツ化されているので、塗装で塗り分けても良さそうですね。
下部のバーニアは上下にスイングが可能。バーニア口の部分も別パーツ化されているので塗り分けると面白そう。
ビーム・キャノンの砲身部は左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。
キャノンは60度程度上下に角度変更が可能。左右へは可動しません。
ビーム・キャノン・パックはポリキャップによる1ダボ接続ですが、背面形状に合わせた作りでしっかりと固定されます。量産ゲルググから背面のカバーパーツを外して組み付けます。
リアアーマーにはビームナギナタのホルダーを装備。ビームナギナタ柄をマウントしておくことができます。
HG陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べてサイズを比較。陸ジムよりも頭一つ分ほど大きめ。量産型ゲルググの全高は19.6mです。
HGUCシャア専用ゲルググが手元にないので、近いところでHG ゲルググ ウェルテクス、HG ジョニー・ライデン専用ゲルググと並べて。どちらもHGUCシャア専用ゲルググがベースで量産型ゲルググも同様。大部分が同形状となっています。
HGUCゲルググマリーネ、HG シン・マツナガ専用ゲルググJとも並べて。同じゲルググ系でもそれぞれが全く別物の形状、フォーマットで造形されています。
首が短く干渉するため、頭部はわずかに上下する程度。左右へは顎が干渉しますが、真横にまでスイング可能です。
腕はショルダーアーマーの可動に関係なく、水平よりも少し上まで上げることが可能。肘は1重関節で90度程度曲がります。
肩の前後スイングは、後方は殆ど可動しませんが、前方へは肩軸が引き出せるのでその分少しスイングさせることができます。
胸部と腹部のつなぎ目がボールジョイントなので、上半身は適度に前後させることができます。
腰は全く干渉なく360度回転させることができます。アクションベースやスタンドへは、股間部のカバーパーツを外し、縦長ダボのジョイントパーツを組み付けてのディスプレイです。
サイドスカートがフレキシブルに可動するので、前方への開脚は水平以上に展開可能。後方はリアスカートが干渉するのでそれなりです。
膝は2重関節で深くまで曲げることができます。膝関節は左右の組み合わせで中央に合わせ目ができます。
足首は前後左右ともそれなりに可動します。
左右への開脚はハの字程度まで可動。
内股、がに股は共に45度程度まで。
立膝は脚部形状の関係もあってあまりきれいな姿勢で再現することはできないようでした。
可動域の総括としては、腰部や脚部のスカートアーマーなど、全体的に少し干渉し易い構造ではありますが、割りと可動が柔軟でポージングは適度に楽しめそうです。
ビームライフル。公国軍が初めて量産に成功したMS用のビームライフルになります。ガンダムが装備するものに勝るとも劣らない性能を持つとのこと。量産タイプのビームライフルですが、このタイプはゲルググしか装備していないイメージも。
基部は左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。
センサーはピンクに塗り分けが必要。
大型シールド。アーモンド状に造形された防御装備になります。ジョイントパーツを挟んでの前後パーツ構成で構造はシンプル。表面にモールドなども全く造形されていません。裏面にはメカニカルなモールドが造形。裏面は全体をグレーに塗り分けが必要。
ジョイント部分はそのままだと前腕にマウントするダボが上向きになり、角度変更することで背部にマウントさせることができます。
ビームナギナタ。ナギナタ状のビーム刃をユニットの両端で発生させるツインソードタイプのビーム・サーベルになります。ビーム刃を片側のみ発生させ、サーベルとして使用したり、マニピュレータごと回転させて攻撃することも可能とのこと。
柄は両端が別パーツ化されていますが、シンプルな棒状。ビーム刃は薙刀状で印象的に造形されています。
付属のジョイントパーツを使用することで、ビームナギナタの柄を背部やシールド裏にマウントさせることができます。
量産型ゲルググで一通り武装して。
ビームライフルは付属の武器持ち手で保持します。グリップとダボ固定ではないため、少しふらつきやすいところも。ただ、ふらつきがあるぶん、後部のストックと前腕との干渉が避けられるので保持はラクです。
平手はグワッと開いたような表情で造形されています。その分ポーズに迫力は出ますが、ビームライフルに手を添えるなどの表情にはやや不自然さがあるので、もう少し柔らかい表情でも良かったかも。
グレーを基調としたカラーリングには量産型ならではの渋さがありますね。背部にアーモンド型のシールドを装備しているのもゲルググならではで独特のかっこよさがあります。
頭部パーツを指揮官機のアンテナ付きのものに組み替えて。
シールドを前腕に装備してポージング。太めのダボ接続で前腕にしっかりと固定されます。接続基部がボールジョイントで柔軟に可動するため、特に干渉することなくポーズを取らせることができます。
ビームナギナタはグリップとハンドパーツとダボ固定ではなく隙間があるため、柄がスルッと移動しやすいです。抜け落ちることはないですが、クルッと角度が変わりやすいので刃の向きを調整するのが少し難しいかと。
両手持ちは問題なく可能。肩がスイングするのでゆったりと保持させることができます。ビーム刃はブラックライトで照らしても発光はせず。
ゲルググキャノンに組み替えてポージング。
通常のゲルググとはまた違った雰囲気がありますし、ゲルググキャノンならではのかっこよさが味わえるのがいいですね。
せっかくの右肩キャノンなので、砲身に手を添えるための右用平手が付属すると良かったかもですね。
指揮官機用の頭部に変更して。頭頂部にアンテナが突き出た独特のスタイルですが、見慣れると風格が感じられるようになってきます。
右腕部に3連ミサイル・ランチャーを装備していますが、ビームライフルも問題なく保持可能です。初期はビームライフルの代替としてビーム・キャノンを装備していましたが、実戦配備後はビーム・キャノンと同時にビームライフルを装備した機体も存在していたとのこと。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。多少のレトロ感はありますが、ポーズを取らせたときのゲルググはやっぱりかっこいいですし、量産型の渋いカラーリングでポージングにも深みが出ます。実戦的なスタイルで泥臭さのあるポージングが楽しめるのもいいですね。ゲルググキャノンも通常のゲルググとは違った魅力がありますし、MSVらしいミリタリー感が感じられるなど満足度は高いです。
気になる点は、武器の保持が少し不安定なので注意です。ビームライフルもビームナギナタも保持でふらつきやすいので、ポージングでは度々向きや位置を気にしてやる必要がありそうです。多少ハンドパーツが外れやすいのも注意。
ビーム・キャノン・パックや3連ミサイル・ランチャーといったゲルググキャノンの武装も緻密に再現されていますし、量産型ゲルググ、ゲルググキャノンどちらも指揮官機として組めるのも魅力的。ゲルググ系ならではのかっこよさと共に、多数のバリエーションが再現可能なキットとして幅広く楽しめるのがいいですね。
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