今回は、2014年9月に発売されたHGUC 1/144 MSZ-008 ZIIのレビューをご紹介します!
HGUC ZIIは、『機動戦士Zガンダム』に関連する様々なMS群シリーズ『Ζ-MSV』より、「MSZ-008 ZII(ゼッツー)」の1/144スケールモデルキットです。可変MS ZIIの特徴的な機体形状を実現。メガ・ビーム・ライフルやクレイ・バズーカと言った武装類が付属する他、パーツの差し替えによるウェイブライダー形態への変形が可能なキットになっています。価格は2,592円(税込み)です。
Ζガンダムの発展機としてΖ計画で開発された可変MSで、可変機構によるコスト高騰を削減するため、メタスと同等の可変方式に簡略化。これによって生産性や操縦性を向上させた機体「MSZ-008 ZⅡ(ゼッツー)」がHGUCでキット化。ゼータ系の流れを汲みつつ、どことなくメタスらしさも併せ持つ特徴的なの機体形状が新規造形で再現されています。
成形色はブルーを基調に、頭部や腹部、大腿部、ソール部などにライトグレーを配色。その他、頭部や腕部、腰部、ソール部などがレッド、頭部や胸部などがイエロー、内部や関節、武装類がダークグレー成形色での再現となっています。
ホイルシールが付属し、頭部ツインアイやセンサー、肩部や脚部、背部スラスターユニットなどの各部モールドを補います。一部ダクトやモールドなどを塗り分ける必要がありますが、素組みで十分なくらいの色分けが再現されています。
一部のグレー成型色パーツにはKPSが使用されています。ABSは不使用。
ポリキャップはPC-001Aを使用し、全身各部に組み込みます。肘、膝ともにポリキャップとPSパーツ構成で関節強度はまずまず高め。ソールがハイヒール型ですが、特に負荷のかかるような装備はないため自立は安定します。
■付属品
メガ・ビーム・ライフル、クレイ・バズーカ✕2(部分的に左右非対称)、ビーム・ライフル、ビームサーベル(ビーム刃、サーベル柄)✕2、ウェイブライダー形態用パーツ(基部パーツ、ディスプレイ用ジョイントパーツ)、、武器持ち手(左右)、メガ・ビーム・ライフル組み替え用パーツが付属。
■各部形状
HGUCゼータガンダム(リバイブ版)と比較しながら各部を見ていきます。
■頭部
頭部はゼータに比べるとやや薄めですが、キリッとした表情が印象的。縦長なへの字スリットのないマスクや4本のアンテナなど、ゼータ系特有のシャープなデザインで造形されています。ツインアイは特に別パーツ化されておらず、モールドの上からシールを貼っての色分けです。
メット部は左右の簡単な組み合わせで頭頂部から後頭部にかけて合わせ目ができます。合わせ目を消す場合はフェイスパーツの後ハメが必要。とさか前後のセンサーはグリーンのシールでの色分けですが、シールが小さいので紛失に注意です。
胸部・腹部。ゼータ系の雰囲気がありますが、前に突き出た胸部装甲が特徴的に造形。エアインテークや赤い装甲などもパーツできっちりと色分けされています。エアインテーク内部はグレーに塗り分けが必要。肩左右の黄色いモールドはシールでの色分けです。
首はダブルボールジョイント型ポリキャップで柔軟に可動。肩はポリキャップとPSパーツ構成で少し上下左右に可動します。
胸部前面の装甲はポリキャップ接続で変形用に取り外しが可能。胸部装甲を外すと肩の干渉がなくなり、より幅広く可動するようになっています。
腰部はゼータ系の雰囲気がありますが、ふんどし部分が縦に長く、リアアーマーもボックス状の厚みのある装甲が造形。ヒトクセあるデザインになっています。
フロント、リアアーマーともに裏面の造りは簡易的。構造的に裏打ちパーツは作りやすそうです。
■腕部
腕部。細身ですが、ゼータガンダムを思わせるカラーリングや肩部、前腕装甲が特徴的に造形されています。
上腕は筒型パーツの組み合わせで合わせ目はなし。前腕はダークグレーの装甲が左右の組み合わせで前面の一部に合わせ目ができます。青や赤の装甲は後ハメ仕様なのでそのまま消すだけで良さそう。
ショルダーアーマーは内外ともに前後の簡単な組み合わせで合わせ目ができます。青い装甲パーツの合わせ目を消す場合は内部ライトグレーパーツの後ハメが必要。合わせ目が目立つのがちょっと残念かも。側面ダクト内部はイエローに塗り分けが必要です。
■脚部
脚部。ゼータガンダムとは異なり、青を基調としたシャープで荒々しい装甲が特徴的に造形。裾側面にはウイングも装備するなど、可変機らしさも感じさせるデザインになっています。一部モールドは赤や黄色いシールでの色分け。
サイドアーマーは足の付根にマウントされており、表面は赤い装甲で色分けされ、側面の三角モールドも黄色いシールで細かく色分けします
大腿部は左右の組み合わせで一部に合わせ目ができますが、大部分の合わせ目は段落ちモールド化。膝から下の青い装甲部分も左右の組み合わせでスネの部分に合わせ目ができます。消す場合は後ハメ、もしくは段落ちモールド化する必要がありそう。
下腿部には簡単な内部フレームが造形。動力パイプやタンクらしいものも造形されるなどメカニカルさが強調されています。
膝を曲げることで膝装甲の角度を変えることができます。アンクルアーマーも適度に可動。
サイドアーマーは足の付け根側に組み込むようになっており、ボールジョイント型ポリキャップで柔軟に可動。
こちらも裏面の造りは簡易的です。脚部後部のダクトは黄色いパーツで色分けされていますが、内部はグレーなどに塗り分けが必要。
ソール部は独特のハイヒール型。幅のあるつま先とかかとで少しクセのあるデザインになっています。かかとは左右の組み合わせですが、後部の合わせ目は段落ちモールド化。
足底は赤いパーツでモールドは少なめ。つま先に少しだけ肉抜き穴があります。つま先は変形用の角度変更が可能。
■バックパック
背部にはメタスを思わせる機種と左右スラスターユニットを装備。ゼータガンダムではスタビライザーやフライングアーマーを装備していましたが、こちらはコスト削減という名目でより可変しやすいメタス型機構が採用されています。
後部フィンはヒンジ接続で上下に可動。強度があまり高くなく、少し動きやすいので注意です。
ZⅡの背部とは2ダボと2穴接続でしっかりと固定されます。
機首、左右スラスターユニットともに変形用に分解が可能。
機首部分は底面に合わせ目ができる仕様。先端下のグレーや中間イエロー装甲はパーツでの色分けです。
側面のイエローフィンはパーツでの色分けですが、先端部はシールでの色分けとなっています。
後部3口のバーニアは別パーツ化。内部に簡単な1重モールドがあるだけでデザインはシンプルです。
スラスターユニットは一部が左右の組み合わせで内側に合わせ目ができます。後部スラスター口はグレーパーツでの色分け。側面の三角モールドは黄色いシールでの色分けとなっています。上部ダクトはグレーに塗り分けが必要。
背部スラスターユニットはボールジョイント接続でロールが可能。左右にも少し可動します。機首に可動ギミックはありません。
■他キットとの比較
HGUC RX-78-2ガンダム(リバイブ版)、HGUCνガンダム(ファンネルなし)と並べて大きさを確認。ZⅡ本体はRX-78-2よりも小さいくらいですが、背部のウェイブライザーの機首の関係で少し全高が増しています。ZⅡの全高は不明。頭頂高は18.3mです。
HGUCゼータガンダム(リバイブ版)と並べて。本体部分の形状やデザインは似ていますが、背部装備や脚部の違いからシルエットがかなり違っています。
HGUCメタスと並べて比較。メタスのほうがかなり肉厚ですが、背部形状はとても良く似ています。ZⅡがゼータとメタスの要素を取り入れているのがとても良くわかりますね。
更にHGUCリゼルとも並べて。リゼルはZⅡの開発データが使用されているため、似た箇所が多いです。
■各部可動域
頭部は適度に上下します。左右へは顎と襟が干渉しますが、うまく交わすようにすれば水平までスイングさせることができます。
腕は水平より少し上まで上げること可能。肘は1重関節で90度よりも少し曲がる程度になります。
肩は少し前後にスイング可能。
上半身は腰のボールジョイントで少し前後します。
腰は少し干渉しますが、360度回転させることができます。アクションベースやスタンドへは、通常通り股間部に3.0mm軸を差し込んでのディスプレイです。
前後開脚は、前方へはフロントアーマーが干渉するため、水平程度までの展開となります。後方はリアアーマーが殆ど干渉しないので広く展開できます。
膝は2重関節である程度深くまで曲がります。膝装甲裏の造りは簡易的。
足首は前後左右とも脚部装甲なりに適度に可動します。
左右への開脚はハの字程度まで展開可能。
足の付根がロールするため、内股、がに股はともに幅広く可動します。
立膝は少しバランスが悪いですが、それなりに再現することができました。
可動域の総括としては、全体的に可動域はまずまず広め。少し干渉したり、1重関節で可動が制限されたりする箇所はありますが、迫力あるアクションポーズは十分に再現できると思います。不自由な感じもそんなにないですね。
■武装類
メガ・ビーム・ライフル。通常使用時はハイパー・メガ・ランチャーより出力が劣るが、ウェイブライダー形態時には各部ジェネレーターと直結させる事でハイパー・メガ・ランチャーに匹敵する威力を発揮するZⅡの主兵装になります。
グレーが基調で少し地味な感じはありますが、バランスの取れたデザインで取り扱いやすい大きさになっています。
本体部分は簡単な左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。
グリップ部分のセンサーはグリーンのシールでの色分け。
砲口部分は別パーツ化。付属のビーム刃を組み付けることができます。
HGUCゼータガンダム(リバイブ版)に付属しているハイパー・メガ・ランチャーと並べて比較。形状は似ていますが、下位互換のようなデザインで少しコンパクト且つ軽量になっています。
クレイ・バズーカ。リック・ディアス用に開発されたバズーカ砲になります。粘着榴弾、通常の炸薬系弾頭などが射出可能。
こちらも本体部分は簡単な左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。
砲口はある程度深くまで開口されています。後部スリットダクトも造りはきっちりとしていて丁寧。
2本付属しますが、グリップと上部フックが左右非対称となっています。
クレイ・バズーカはグリップを収納することで背部にマウント可能。
HGUC百式(リバイブ版)、HGUCリックディアスのクレイ・バズーカと並べて比較。形状自体はリバイブ版百式のものと殆ど同じです。
ビーム・ライフル。ゼータガンダムのものをそのまま流用したビーム・ライフルです。更新用の生産品を使用したものとのこと。
こちらも本体部分は簡単な左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。各部モールドはイエロー、上部センサーはグリーンのシールでの色分け。
グリップは収納可能。砲身の伸縮や上部センサーの収納ギミック、Eパックの脱着ギミックなどはありません。
銃口部分は別パーツ化。先端にはビームサーベル刃が組み付け可能です。
■ポージング
一通り武装して。
メガ・ビーム・ライフルは付属の武器持ち手をグリップに組み付けて保持します。
グリップと手のひらでダボ固定できるのでしっかりとした保持が可能。
グリップが上部に配置されているため、フレーム部分が前腕と干渉しやすく角度が付いてしまうので、うまく調整しつつ射撃体勢を取ります。画像のように深く脇に抱えるようにすると構えやすいかと。
銃口部分にサーベル刃を組み付けて。やはり色んな部分でゼータガンダムの雰囲気があって格好良いですね。
少しBJ型ポリキャップ接続の腰アーマーがたまに外れるので注意。手首もポリキャップ仕様で外れやすいので注意です。
クレイバズーカも付属の武器持ち手で保持します。ダボ固定でしっかりとした保持が可能。
2本付属するため、両手持ち射撃が再現できるのが良いですね。バズーカ後部にマガジンがあるため肩と干渉しやすいですが、グリップが可動するので干渉を避けることができます。
少し干渉しますが、脇に抱えて射撃ポーズを取るのもありですね。
ビームライフルも同様、付属の武器持ち手で保持し、しっかりとダボ固定できます。
特にバラけることなく保持は安定しています。
ビームサーベルは通常の握り手で保持します。特にダボ固定ではないですが、柄が角型で太めなので、抜け落ちることなく保持することができます。
■ウェイブライダー形態
ウェイブライダー形態への変形は、胴体部と下半身(大腿部まで)を残し、各部を細かく分解しておきます。
そしてウェイブライダー形態用の基部パーツに腕部や胸部、リアアーマーパーツを組み付け。
脚部も膝装甲とつま先、アンクルアーマーを閉じて組み付けます。
続いて上部にスラスターユニットと機首部分、底部にサイドアーマーを組み付け。
そして上部にグリップを収納したクレイ・バズーカ、底部にグリップパーツを取り外し、付属のジョイントパーツに組み替えたメガ・ビーム・ライフルを装着すれば、ウェイブライダー形態への変形完了です。
ウェイブライダー形態。シルエットはほぼメタスで、ゼータガンダムのウェイブライダー形態としての面影は殆どありません。
ですがその分比較的小型で軽量になり、ゼータでは細かく可動させる必要があった大型のフライングアーマーなどもオミットされています。
ZⅡのウェイブライダー形態をいろんな角度から。各部ともポリキャップと1ダボでしっかりと固定されているため、ほぼ形状が崩れるようなことはありません。ディスプレイしやすいです。
ウェイブライダー形態でディスプレイさせる場合は付属のジョイントパーツを底面に差し込みます。
上部にクレイ・バズーカ、下部にメガ・ビーム・ライフルを装備しているため、攻撃的な戦闘機としての機能性は十分。
簡略化によって生産コスト削減と機動性、攻撃性の向上を実現したハイクオリティの機体であることがわかるようなデザインになっています。
特に表情が変えられるような箇所はなく、あえて言うなら上部クレイ・バズーカが少し角度が変えられるかなという程度。
ウェイブライダー形態だとあまり変化がつけられないのが玉に瑕かなというところです。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。一見するとほぼゼータガンダムですが、見ていくうちにメタスらしさが強まっていくという両方の良さを持った機体になっていて面白いですね。どことなくセミアーマーゼータっぽさもあり、重厚な雰囲気もありますし、リゼルに繋がる要素も至るところに見られるという系譜の魅力が詰まったキットになっています。
気になる点は、どの武装とも後部が長く、前腕と干渉しやすいので、射撃ポーズを取らせる際はうまく干渉を避けつつポーズを取らせる必要がありそうです。
それと全体的にポリキャップによる関節部分が抜けやすいので注意です。特に首や手首、膝などが抜けやすいのが少し気になりました。武装類を保持すると何かと干渉して抜けやすくなるので、あらかじめ補強してからポーズを取らせるのも手ですね。
武装類が多数付属するため、ポージングに事欠かないですし、トゲ感のあるデザインでポージングも格好良く決まります。ウェイブライダー形態でもディスプレイしやすく、どちらの形態でも楽しめるのが魅力。映像への露出は少ないですが、MSV特有の渋さと味が感じられるキットとして楽しめるのが良いですね。
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