今回は、2012年9月に発売されたHGUC 1/144 RGM-79SP ジム・スナイパーIIのレビューをご紹介します!
HGUC ジム・スナイパーIIは、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場するMS『RGM-79SP ジム・スナイパーII』の1/144スケールモデルキットです。頭部バイザーやバックパックといった特徴的な機体形状を新規造形で再現。狙撃用ライフルや専用のハンドパーツが付属し、リアルな狙撃ポーズが再現可能なキットになっています。ミドル・モビルスーツ『ドラケンE』やプルバップマシンガン、シールドといった武装類も付属。価格は1,650円(税込み)です。
ジム・コマンド系列の機体の1機で、スカーレット隊に配備されてケンプファーの迎撃の任についたMS『RGM-79SP ジム・スナイパーII』がHGUCでキット化。他キットからの流用はなく、付属のドラケンEともに新規造形での再現となっています。
成型色はライトブルーとブルーをベースに、頭部や胴体部にレッドを配色。その他、バイザーのセンサーやゴーグルはクリアグリーン、関節や内部パーツ、武装類はグレー成型色での再現となっています。付属のミドル・モビルスーツ『ドラケンE』はオレンジ成型色パーツのみで構成されています。
ABSやKPSは不使用。ほとんどのパーツがPS素材です。塗装する場合にひび割れなどをあまり気にする必要がないのはいいですね。
ポリキャップはPC-001をほとんどすべての関節に使用し、関節強度はまずまず高め。特に負荷のかかるような装備はなく、自立は安定しています。
シールド、狙撃ライフル、ビームサーベル刃✕2、プルバップ・マシンガン、武器持ち手✕2(狙撃ライフル用:右、プルバップマシンガン用:右)、平手(左)、ミドル・モビルスーツ『ドラケンE』、ドラケンE作業用のアーム(左右)、サーチライト✕2が付属。
スカーレット隊や連邦のエンブレム、6機編成の3機目である③マーク、ドラケンE(リーア軍所属機)用などが収録されたマーキングシールが付属します。今回は組み立て工程で指示されている部分にのみ貼り付けています。
頭部は基部がジム・コマンドのデザインですが、額にはジム・スナイパーⅡ特有のバイザーを装備。狙撃手をイメージしたようなデザインで造形されています。バイザーのセンサーは上がクリアグリーンパーツ、下がマーキングシールでの色分け。左側面のアンテナも印象的に造形されています。
メット部は前後の組み合わせで頭頂部から側面にかけて合わせ目ができます。合わせ目を消す場合、頬の赤いダクトパーツの後ハメが必要ですが、複雑な組み合わせではないので処理はラクそう。側面のマルイチモールドラインは青いマーキングシールで色分けします。
クリアグリーンのゴーグル内部には1つ目のセンサーがメカニカルに造形。クリアパーツからセンサーが透けて見えるのは良い演出ですね。
バイザーは上下に可動。バイザーには精密射撃用センサーと光学複合センサーが内蔵され、頭部バイザーを下ろして頭部全体を冷却することで、超長距離の狙撃を可能としているとのこと。下げることで狙撃シーンの表現力が高まります。額のセンサーはグリーンのマーキングシールで色分けします。
胸部もジム・コマンドベースで、全体的にエッジの効いたシャープなデザイン。ですが胸のスリット状エアインテークがオミットされています。肩ダクトや腹部コックピットハッチは赤いパーツでの色分けとなっています。肩ダクト内部は黒く塗り分けが必要。
肩や首部はポリキャップ接続で適度に可動。首元のグレーや額バイザーのグリーンのマーキングシールはやや浮きやすいので注意です。押さえてもすぐに浮いてくるのはちょっと面倒かも;
腰部はジム・スナイパーⅡ特有のデザインでフロントアーマーが2枚重ね装甲。中央の上下赤もパーツできっちりと色分けされています。
リアアーマーは2本のサーベルホルダーが造形。HGUCジム・コマンドと似た作りですが、こちらはサーベル柄が外れにくくなっています。
腰アーマー裏はフロントアーマー裏にのみ、裏打ちパーツが造形。その裏打ちパーツはパネルラインなどが緻密で見栄えのするデザインになっています。HGでこのレベルの裏打ちパーツが造形されているとすごく嬉しいですね。
腕部。ショルダーアーマーなどはジム・コマンドと同型ですが、前腕は肘に丸モールドが造形されたジム・スナイパーⅡ特有のデザインです。各部ともエッジが効いていてシャープ。
二の腕は筒型で合わせ目はなし。前腕は左右の組み合わせですが、前面の合わせ目は端でモールド化。後面は中央に合わせ目ができます。肘から分離しないので、合わせ目を消す場合は後ハメなどが必要。
ショルダーアーマーは前後の組み合わせですが、上部の合わせ目は端でモールド化。合わせ目が露出しない、完成度の高い作りになっています。側面のダクトは細かなスリットモールドが造形。ダクト内部は赤く塗り分ける必要があります。
脚部。シャープさを保ちつつも、適度に丸みがあってバランスの取れたデザイン。ふくらはぎの丸モールドも特徴的に造形されています。
大腿部は前後の組み合わせで側面に、膝から下は左右と前面装甲の組み合わせで後部に少し合わせ目ができます。膝関節も左右の組み合わせで中央に合わせ目あり。膝から分離しますが、大腿部と膝関節が分離しないのでその分、合わせ目消しは手間取りそうです。足の付根はロール可動するギミックがあり、脚部が柔軟に可動するようになっています。
ソール部はスリッパ型でシャープに造形。グレーの基部パーツは上下に可動します。グレーのパーツは左右の組み合わせで中央に合わせ目ができますが、分解できるので消すのはラク。アンクルアーマー側面のマルイチモールドは内部を黒く塗り分ける必要があります。
足裏は開発側のこだわりを感じるほどの緻密なモールドが造形。肉抜き穴はありません。中央2基のスラスター内部は赤く塗り分けが必要です。脚部後部の2基スラスターも同様、内部を赤に塗り分けが必要。どちらも濃い成型色なので下地塗装したほうが良さそうですね。
バックパックもジム・スナイパーⅡ特有のデザイン。左右が小型の角型スラスター、中央がボックスタイプで、内部に2基スラスターを装備したタイプになります。中央スラスターはグレーのパーツでの色分けで内部を赤く塗り分けが必要。
バックパックはシンプルな2ダボ接続。
HG陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べてサイズを比較。大きさは陸ジムと殆ど変わらずでやや小柄。設定でもジム・スナイパーⅡの全高は陸ジムなどのジム系と同じ18.0mです。
系列が同じHGUCジム・コマンドと並べて。同系機なので似た箇所はありますが、キットとしては発売時期やフォーマットが違っているので構造は全くの別物。
同シリーズ(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)に登場したMS(HGUCジム寒冷地仕様、HGUCガンキャノン量産型)とも並べて。ジム寒冷地仕様も同系機なので腹部や肩などが似ていますが、別フォーマットなのでプロポーションなどが少し違っています。ガンキャノン量産型と組み合わせればスカーレット隊も再現可能。
塗装済みですがMGジム・スナイパーⅡとサイズを合わせて比較。造形的には同じですが、MGのほうが少しスタイリッシュさが強い印象。胴体部と四肢とのバランスが少し違っているようですね。
頭部の上下可動はあまり広くはなく、僅かに上下する程度。左右へは水平までラクにスイングさせることができます。
腕は水平よりも少し上まで上げることが可能。肘は1重関節で90度より少し深くまで曲がります。
肩の前後スイングはボールジョイント接続で少し前後する程度。前方へはポリキャップが引き出せるのでその分広めにスイングします。
腹部がボールジョイント接続なので、引き伸ばすことで上半身を少し前後させることができます。
腰は少し干渉しますが、360度回転させることができます。アクションベースやスタンドへは、通常通り股間部に3.0mm軸を差し込んでのディスプレイとなります。
前後開脚は、フロントアーマーが広く可動するので前方へは広く展開可能。後方はリアアーマーが可動しないので干渉して制限されます。
膝は2重関節ですが、装甲が干渉するのでくの字程度まで。
足首の可動は、前後へは広めに可動しますが、左右へは少しスイングする程度。
股間部が軸接続で脚の付け根もロールしますが、左右への開脚はハの字程度までとなります。
脚の付け根がロールしますが、股間部と大腿部が干渉するので内股は45度程度まで。がに股は水平以上に幅広く展開させることができます。
立膝は少しバランスは悪いですが、まずまずな姿勢で再現することができました。
可動域の総括としては、各部とも特別広くはないですが、立膝はまずまず形になっていますし、腰部周りもある程度可動するのでその辺りを活かしつつ、ポーズを取らせると良いのかなと思います。
狙撃用ライフル。(75mmスナイパー・ライフル)ジム・スナイパーⅡの主武装になります。ボルトアクション式無反動砲で、ドイツ製のモーゼル・ボルトアクションライフル『kar98K』が手本になっているとのこと。表面モールドは多くはなくシンプル。本体部分をくすみのあるグリーンで塗り分ける必要があります。
本体部、後部ストックともに左右の組み合わせで上下などに合わせ目ができます。
上部のスコープ先端や銃口は別パーツ化。塗装で塗り分けるとまた違った雰囲気が出そうですね。
プルバップ・マシンガン。一年戦争の後期によく使われた90mm口径の実弾兵器になります。劇中でケンプファー迎撃の際に装備していた武装。全体をくすみのあるグリーンで塗り分ける必要があります。
本体部分は簡易的なモナカ割で上下に合わせ目ができますが、シルエットやデザインは割りとよくできています。マガジンの脱着ギミックはなし。
銃口上のセンサーはグリーンもマーキングシールでの色分けです。
シールド。こちらもジム・コマンド等が装備しているのと同じで、連邦のMSがよく装備しているシールドと同形状のものになります。表面の青い部分は別パーツでの色分け。上部マルイチモールドはグレーに塗り分けが必要です。
裏面は簡易的ながらもグリップやプルバップ・マシンガンのマガジンなどがモールド造形されています。それぞれグレーに塗り分けが必要。
ジョイントパーツの組み合わせ角度を変えることで、シールドを後面や側面に配置することができます。
狙撃ライフルとシールドを装備して。
狙撃ライフルは手首に角度の付いた武器持ち手で保持します。手のひらにダボ固定されるのでしっかりとした保持が可能。手首に角度がついているので、前腕と後部ストックが干渉することなくラクに構えさせることができます。
立膝を付いての射撃ポーズも様になります。腕部をグワッと引き寄せても干渉なく自然な形で構えられるのがいいですね。平手が付属するので、銃身を支えるような自然なポーズができるのもグッド。バイザーを下げることで狙撃する際の雰囲気が強調されるのも魅力的です。
平手は狙撃ライフルを構えるだけでなく、指示するポーズなどいろんな表情をつけることができます。
プルバップ・マシンガンは狙撃ライフルとは別の武器持ち手で保持します。こちらは手首に角度が付いていないタイプですが、手のひらダボで固定されるのは同じ。安定した保持が可能です。
ジム・スナイパーⅡは名称こそ『スナイパー』で超長距離狙撃任務に対応していますが、狙撃一辺倒ではなく、従来のMSとして大半の武装も使用可能な汎用性の高い機体になります。
シールドは前腕にしっかりとダボ固定されますし、ジョイントパーツとシールドもポリキャップ接続なのでかっちりとした保持ができています。ロールするので干渉も避けられますし、ポージングでの表情も付けやすいです。
ビームサーベル刃はクリアピンク成型色での再現。少し短めではありますが、通常の筒型でシンプルなデザインで造形されています。
ハンドパーツとの間に隙間も無いので、スルッと抜け落ちることはありません。若干柄とビーム刃との固定が甘く、簡単にヘナっと角度が変わったりするので、気になるなら予め補強しておくと良いかと。
ミドル・モビルスーツ『ドラケンE』。サイド6に駐屯する連邦軍駐屯部隊「リーア軍」が所有するミドルモビルスーツになります。こちらの形状はリーア軍所属機。ちなみにミドルモビルスーツとは、プチ・モビルスーツと同様、スペースノイドの暮らしに密着している作業用MSの1つで、プチモビよりも一回り大きめ。独特の容姿で小型ですが、四肢各部ともパーツ分割されて緻密に造形されています。
エネルギータンク裏は肉抜き穴なので埋める必要があります。劇中では第4話、ケンプファー襲撃時に倉庫から出撃するシーンなどがありました。コレをキット化しようと思ったのがなかなかスゴいですね。
細部まで手が混んでいてリアル。サーチライトやエネルギータンク、動力パイプなどもかなり細かく造形されています。オレンジ成型色のみで構成されているので、部分的にグレー、背部タンクをレッドなどに塗り分ける必要があります。小物なので、筆塗装の練習にもなってよろしいかと。
胴体部は前後の簡単な組み合わせですが、表面モールドがかなり緻密。背部動力パイプまでも別パーツ化されているという手の混みようです。左胸には細かなサーチライトが造形。
腕は1個パーツ構成で細身。ですが指先まで繊細に造形されています。右肩にのみサーチライトが造形。肩がボールジョイント接続で前後に幅広く可動します。
脚部。モナカ割の簡単な作りですが、こちらもモールドは細かく造形されています。前面と後面のかかとなどに合わせ目ができます。一部の合わせ目は段落ちモールド化。
股間部は角型ダボ接続なので脚部の可動ギミックはありません。脚裏も肉抜き穴などはなく細かく造形されています。
腕が前後に可動するので、小さなモビルスーツらしくバタバタとした可愛らしい表現ができるのがいいですね。可動箇所が少ない分ぎこちなさがあり、その分お茶目な感じが出ます。
3.0mm穴などはないので、浮かせたりしてディスプレイさせる場合はスタンドのアームで挟む必要があります。メカニカルに造形されているので単純なディスプレイでも見栄えがしますし、腕が動かせるのである程度表情は付きます。
ジム・スナイパーⅡと組み合わせれば、リボーコロニーでのワンシーンっぽく演出することができます。
腕部と両胸のサーチライトに組み替えることで作業用のドラケンEに。メカニカルなアームに変わったことでより作業用マシンっぽさが強くなりました。こちらは全体をライトグリーンに、クローをイエローに塗り分けが必要。
アームは左右で形状が違っています。右腕はクローが閉じた状態。
左腕はクローが展開した状態。工事車両やクレーンのようなデザインに泥臭い感じがあっていいですね。
腕部形状が特徴的なので、腕を振り上げるだけでも様になります。まさに個性の塊のような(ミドル)モビルスーツ。
右のクローにはビームサーベルを挟むこともできました。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。プロポーションや各部の造形もいいですし、パーツによる色分け再現度も高いです。武装類も合わせ目こそできますが、造形的に申し分なし。武器保持もしやすく、狙撃シーンや軽武装でのポージングも多彩に演出できるなど、万能性を感じさせる作りになっています。理想のジム・スナイパーⅡと言えるくらいの安定した作りになっているのがいいですね。
気になる点はほとんどないですが、貼り付けたマーキングシールが少し浮きやすいのは気になりました。四肢などに適度に合わせ目ができますが、その辺りは製作技術を磨くなどじっくり処理していくのもありですね。
劇中で少しだけ登場したドラケンEが付属し、それがかなり緻密な作りになっていてこだわりが感じられますし、組み替えによる作業用機が再現できるなど、おまけ以上の出来になっているのも嬉しいところです。ジム・スナイパーⅡ本体もバイザーの開閉で狙撃シーンの雰囲気が強調されますし、物足りなかった劇中シーンをしっかりと補えるくらいの良キットに仕上がっているのがいいですね。
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