今回は、HG 1/144 RGM-89D ジェガンD型（迷彩仕様）のレビューをご紹介します！
HGUC ジェガンD型（迷彩仕様）は、『機動戦士ガンダムUC』に登場するMS「RGM-89D ジェガンD型（迷彩仕様）」の1/144スケールモデルキットです。特徴的なスプリッター迷彩を水転写式デカールと成形色で再現。通常のD型用装備やマラサイ、ハイザック用ビームライフル、バズーカなどが付属し、多彩な武装と組み合わせたポージングが可能となっています。価格は2,420円（税込み）。プレミアムバンダイ限定の商品です。
ジェガンD型に明灰色を基調とした特徴的なスプリッター迷彩が施された仕様で、劇中ではシャイアン基地に配備機。特に活躍シーンはなかったものの、基地の警備に尽力した機体「RGM-89D ジェガンD型（迷彩仕様）」がHGUCでキット化。
HGUC ジェガンD型（2014年5月発売）※のカラバリですが、迷彩仕様特有のカラーリングが成形色で再現されています。BR-78Aビーム・ライフル（HGUC マラサイからの流用）、スプリッター迷彩を再現するための水転写デカールも付属。※大元はHGUCジェガン（逆シャア版）（2009年8月発売）
成形色は迷彩仕様特有のパープルグレーを基調に、襟や腰、脚甲などにダークブルー、顎や腹部、シールドのミサイル・ランチャーなどにライトグレーを配色。その他、内部・関節、各部バーニアや武装類がグレー成形色での再現となっています。
ホイルシールは付属せず。頭部センサーや一部装甲は水転写デカールで補うようになっています。その他の一部装甲やバーニア内部などは塗装が必要。
強度が必要な箇所のグレー成型色パーツにはABSが使用されています。なので塗装する場合は破損やひび割れなどに注意が必要。その他のパーツはPS素材でKPSは使用されていません。
ポリキャップはPC-132Aを使用し、全身各部に組み込みます。肘や膝はABSとポリキャップ接続で関節強度はまずまず高め。背部にフレキシブルスラスター付きのバックパックを装備していますが、特に負荷はかからず、足底の接地性も高いため自立は安定しています。
■付属品
シールド、汎用バズーカ、ビームライフル（ジェガン用、マラサイ用）、武器持ち手（右）、ビームサーベル刃（短、長）、アイテム保管用のプレートが付属。
エコーズ仕様やHGUCジェガン（逆シャア版）、HGUCマラサイ用のパーツが余剰で付属。頭部や胸部パーツを組み替えることで、エコーズ仕様のカラバリを再現することができます。逆シャア版は再現不可。
専用の水転写デカールが付属。各部のスプリッター迷彩を補います。頭部センサー類も全て水転写デカールでの色分けなので少しガンプラ玄人向けな感じがありますね。
■各部形状
通常版（HGUCジェガン逆シャア版）、HGUCジェガンエコーズ仕様、HGUCジェガンD型と比較しながら、HGUC ジェガンD型（迷彩仕様）の各部を見ていきます。
■頭部
頭部。迷彩仕様は形状がD型と全く同じ。左側頭部にアンテナ付きのバルカンポッドシステムを装備したタイプになります。外装がパープル基調なのと、顎がライトグレー、バイザーがクリアパープルで渋みがありますね。
頭部は合わせ目ができないパーツ構成。D型はメット部にラインモールドが入っていて裾の形状も少し違っています。迷彩仕様はセンサー類を水転写デカールで補うため、今回は貼っていません。
頭部内部には1つ目状のセンサーモールドが造形。クリアパーツ越しでもメカニカルなディテールが確認できるようになっています。
■胴体部
胸部・腹部を逆シャア版、エコーズ仕様と並べて。迷彩仕様（D型）は逆シャア版と同じで、エアインテークやコックピットハッチが造形されたヒロイックな仕様です。腹部ハッチはダークブルーの水転写デカールで色分けできますが、塗装したほうが早いかも；
首はPSパーツ構成で前後にスイング可能。肩はポリキャップとABSパーツ構成で前後や上下に可動します。
腰はボールジョイントとポリキャップ接続で柔軟に可動。
腰部を逆シャア版、エコーズ仕様と並べて。迷彩仕様はD型なのでエコーズ仕様と同じ。前面には装甲追加用のラッチモールドが造形されています。V字装甲の形状も逆シャア版とは少し違っていますね。中央のV字は水転写デカールで補えますが、ふちの装甲はホワイトに、ラッチの一部モールドはグレーに塗り分けが必要です。
その他、逆シャア版とはふんどし部分の太さなども細かく違っています。
サイドアーマーには通常版と同様、左に3基のハンドグレネード、右にサーベルラックを装備。ハンドグレネードは中央のハッチが展開可能。取り出し演出ができます。
3基のグレネードは1個パーツ構成ですが、個別にダボがあるので切り離して見栄えを良くするのもありかと。
腰アーマー裏は左右とも簡易的な造り。股間部はポリキャップと1軸接続でロール可能。脚部に適度に動きを付けることができます。
■腕部
腕部をD型、逆シャア版、エコーズ仕様と並べて。迷彩仕様はD型、エコーズ仕様と同形状。上部にラッチのあるタイプで、メカニカル且つコンパクトなショルダーアーマーになっています。上腕以下の形状は各種とも同じ。肩部のダクトはホワイトとグレーに塗り分けが必要です。
上腕は筒型で合わせ目はなし。前腕は前後の組み合わせですが、側面の合わせ目は段落ちモールド化されていて造りが良いです。
ショルダーアーマーは前後の組み合わせで上部や側面に合わせ目ができます。内部パーツを挟むので、合わせ目を消す場合は後ハメなどの加工が必要。側面ダクトは起伏が細かいので合わせ目消しが難儀かも。
■脚部
脚部はどのジェガンとも形状が同じ。モールドが少なくシンプルなデザインで造形されています。全体がパープルでまとめられているため、渋さと落ち着きがありますね。
大腿部は前後、膝から下は前面と左右の組み合わせですが、合わせ目は各部とも段落ちモールド化されていて造りが良いです。塗装・制作時の手間が省けるのも良いですね。
後部裾のバーニアは別パーツによる色分けですが、内部はホワイトに塗り分けが必要。スリットモールドが丁寧に造形されています。
大腿部にのみ、簡単なフレームが造形されています。
脚の付け根（ボールジョイント受け口）は少しスイングが可能。この可動によって脚部可動の自由度が少し増しています。
ソール部。モールドが少なくシンプルですが、エッジの効いた重厚感あるデザインで造形されています。脚甲もダークブルーに色分けされていてちょっとしたインパクトがありますね。
足裏はモールド入りの裏打ちパーツで蓋がされているため、肉抜き穴などもなし。一部モールドをマスキングで塗り分けてみても良さそうです。
■バックパック
バックパックを逆シャア版、エコーズ仕様と並べて。迷彩仕様はD型なのでエコーズ仕様と同じ。逆シャア版とはシルエットは似ていますが、本体部分がコンパクトになり、エッジの効いた装甲のみでメカニカル感が強調されています。
バックパック基部は前後の組み合わせで、側面の円形モールドの部分にのみ合わせ目ができます。下部にはスリットモールド入りの3基バーニアが造形。それぞれ別パーツでの色分けです。中央の大型バーニアはポリキャップ接続で少し上下に可動。
上部フレキシブルスラスターは2個パーツ構成ですが、合わせ目は内側でモールド化。ダクト内部はホワイトとグレーに塗り分けが必要です。ダクト内部がフラットなので、スリットプラ板を貼り付けてディテールアップしても面白そう。
フレキシブルスラスターの基部は1ダボ接続で前後にスイング可能。表情を変化させることができます。
バックパックとジェガン本体とはHGジェガンシリーズ共通の角型2ダボ接続。
なので逆シャア版のバックパックもマウントできますし、スタークジェガンのバックパックなども装備できます。肩部がD型仕様でラッチ付きなので、3連装ミサイルポッドも装備可能。
個体差かもですが、この太いダボ接続でもバックパックがやや外れやすいようでした。
■他キットとの比較
HGUC ジェガンD型と並べて比較。形状は全く同じです。ジェガンはグリーン基調のものが多いですが、エコーズ仕様を含めミリタリー調のカラーリングのジェガンは渋さが増すので良いですね。
HGUC ジェガン（エコーズ仕様）、HGUC ジェガン（エコーズ仕様）コンロイ機と並べて。エコーズ仕様は特殊部隊仕様なのでカラーリングや部分的な形状が違っています。迷彩仕様とはまた違った雰囲気がありますね。
HGUC ジェガン（逆シャア版）、HGUCジェガン （アクシズショックイメージカラー）と並べて。迷彩仕様はD型なので、これら逆シャア登場機とは各部形状が細かく違っています。
更にF91に登場したジェガン（HGUC ジェガンノーマルタイプ、HGUC ジェガン Aタイプ、HGUCジェガン Bタイプ）とも並べて。こちらとも各部が細かく違っています。
HGUC EWACジェガン、HGUCジェガンD型（護衛隊仕様）とも並べて。ジェガンはガンプラの中でも特にバリエーション機が多いですが、長期運用された主力量産機で汎用性が高いというのもその要因の一つですね。
■各部可動域
各部可動域をD型、逆シャア版と比較。フォーマットが同じなため、各部の可動域もだいたい同じ。頭部は適度に上下しますし、腹部も少し反らすことができます。腕はY字程度まで高く上げることが可能。肘は1重関節で90度程度までとなっています。
腰は干渉するため、45度程度までしか回りません。膝は2重関節でくの字程度まで曲げることができます。干渉や大腿部と膝から下の比率の関係もあり、立膝をきれいな姿勢で再現するのは難しいようでした。
股間部がボールジョイント接続なので、左右への開脚はハの字程度と制限されます。足首もそこまで深くは曲がらない仕様。
全体的に特別可動域が広くはないですが、狭くもないのでまずまずなポージングが可能。足の付根があまりロールできないのと、股間部周りが少し弱点なのでその点をどうポージングで補うかがポイントになりそうです。
■武装類
BR-78Aビーム・ライフル。グリプス戦役時などにマラサイやハイザックが使用していたものと同じです。劇中でのシャイアン基地護衛の際もこのビーム・ライフルを装備していました。銃身下部から前方に伸びるEパックが特徴的。HGUCマラサイからの流用になります。
造りはやや簡易的。本体部分、Eパック共々簡単な左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。
ビーム・ライフル。D型やHGUCジェガン（逆シャア版）、エコーズ仕様などジェガン各種に付属しているものと同じで、連邦MSの定番ビーム携行火器になります。取り回しを重視した短銃身の構造が特徴で、連射性に優れ、接近戦や混戦で威力を発揮。
本体部分は簡単な左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。簡易的な構造なため、マガジン（Eパック）の脱着ギミックなどはありません。
銃口は別パーツ化。公式ページに塗装見本はないですが、銃口上部のセンサーは塗り分けると映えそうですね。
汎用バズーカ。実弾を発射する無反動砲になります。グリップに予備弾倉を配し、複数種の弾頭に対応した実体弾携行火器で、ジェガンだけでなく様々な機種で運用。D型やエコーズ仕様に付属しているものと同じでミリタリー感の強いデザインで造形されています。
本体部分は簡単な左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。前後に配されている弾倉の脱着ギミックはなし。
砲口や上部の小型センサーは別パーツ化されているので塗り分けがしやすいかと。砲口、後部共に適度に開口されています。
グリップや側面のフォアグリップは前後にスイング可能。
シールド。の耐弾性能が高く、攻撃を弾いたり逸らしたりするための構造や材質を持つ防御用の実体盾です。A型と同等の物で左右には2連装ミサイル・ランチャーを内蔵。こちらもD型や逆シャア版、エコーズ仕様に付属しているものと同じです。
裏面の造りは簡易的。ですが一応簡単なモールドが造形されていてそれなりのディテールはあります。ジョイント部分はポリキャップ接続でロール可能。裏面の一部は水転写デカールで補えますが、一部装甲はグレーに塗り分けが必要です。
ミサイル・ランチャーの弾頭は別パーツ化されていますが、ライトグレー成形色での再現なのでダークグレーに塗り分けが必要です。
エコーズ仕様から流用のEランナーはタグがプレート型。一部にジョイント穴があり、使用していないハンドパーツを組み付けておくことで紛失が防げるようになっています。
■ポージング
一通り武装して。
BR-78Aビーム・ライフルは他の武装とは違ってグリップにダボ固定がないため、ややふらつきやすいです。ですがフラフラというわけでもないのである程度安定した保持が可能。ハンドパーツから外れ落ちる心配はありません。
両手持ちも問題なく再現することができます。肩の可動が柔軟なので構えるポーズに融通が効きます。比較的ゆったりと保持できるのが良いですね。
シールドはジョイントパーツを介して前腕の側面と後面にマウント可能。ポリキャップ接続なため、固定がしっかりとしていて取り扱いがかなりラクです。ジョイントパーツも前腕にしっかり固定できてポロリが全くありません。
ジェガン系は多少ぎこちない感じはあるものの、各部関節がしっかりとしているのでかなり取り扱いやすいです。なのでポージングが捗りますし、無骨な造形でもポーズが決まりやすく格好良いポーズが簡単に再現できるのが良いですね。
ジェガン用のビーム・ライフルに持ち替えて。こちらは正規の武装であるため、グリップのダボをハンドパーツに差し込んでしっかりと固定。安定した保持が可能です。
スプリッター迷彩がなくても十分に渋く印象に残るカラーリングですが、水転写デカールを貼って迷彩を施すとより印象的で個性を感じるジェガンに変化すると思います。
汎用バズーカを装備して。グリップがある程度前後しますし、肘もまずまず曲がるので、肩に担ぐようなポーズは問題なく再現できます。
両手持ちも再現可能。多少ぎこちない感じはありますが、少し腕を伸ばした状態であれば、ある程度きれいな姿勢での両手持ち射撃ポーズをとらせることができます。
脇に抱えるポーズも問題なく再現できました。
ビーム・サーベル刃はクリアピンク成形色での再現。ブラックライト（UVライト）には反応しません。柄が短いので両手持ちは難しいですが、適度に太さがあるので簡単に抜け落ちることはありませんでした。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。ジェガンのカラバリにマラサイのビーム・ライフル、スプリッター迷彩の水転写デカールで少しやっつけ感はありますが、パープルの外装がジェガンの機体形状と良くあっていますし、渋みがあって格好良いです。安定したジェガンフォーマットで取り扱いやすく、ポージングがサクサク捗るのもガンプラとしてかなりのメリット。マラサイビーム・ライフルでちょっとした色気が出せるのも良いですね。
気になる点は、スプリッター迷彩が水転写デカールなため、どうしても劇中の容姿をそのまま再現するにはハードルが少し高めです。ですが制作はガンプラの楽しみの一つでもあるので、ステップアップとして水転写デカールにチャレンジしてみるものありかなと。
もちろん素組みのままでも十分ですが、水転写デカールを貼ると段違いに映えると思いますし、ジェガンバリエ機の一つとしてのコレクションアイテムとしても魅力的。武装類も程よく付属し、他のジェガン以上に遊びの幅もあります。劇中では全く活躍シーンがなったのが残念ですが、せめてキットで迷彩仕様の勇姿や個性、そのカラーリングなどをしっかりと味わいたいですね。
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