今回は、2017年5月に発売されたHG 1/144 陸戦型ガンダムS型(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)のレビューをご紹介します!
HG 陸戦型ガンダムS型(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)は、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第2部他に登場するMS『陸戦型ガンダムS型』の1/144スケールモデルキットです。ジムベースながらも、ガンダムヘッドを持つ特徴的な機体形状を新規パーツを用いて再現。ビームジャベリンやビーム・ライフルといった武装が付属する他、サブアーム差し替えによるフル装備状態が再現可能なキットになっています。価格は1,980円(税込み)です。
強襲揚陸艦スパルタンに配備され、南洋同盟のグフなどと交戦した量産型MS『陸戦型ガンダムS型(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)』がHGでキット化。内部や関節など一部にHGフルアーマーガンダム(TH版)(2016年4月発売)、腰部や大腿部などの外装にHGジム(TH版)(2016年5月発売)のパーツを流用しつつ、ガンダムタイプの頭部やバックパックなど各部が新規造形で再現されています。
成型色はダークブルーとホワイトをベースに、胸部周りなどにくすみのあるイエローを配色。その他、関節や内部パーツ、バックパックパーツはグレー成型色での再現となっています。
シールは頭部各部と腰部の一を補うくらいで少なめ。元々派手に色分けされた機体ではないので、素組みでほぼ設定通りの色分けが再現されます。塗装も頬のダクトとシールド裏をグレーに塗り分けるくらいでわずか。
ABSやKPSは不使用。大部分はPS素材で構成されています。他のサンダーボルト版キットと同様、関節にデブリ避けのシーリング処理が施されているのが特徴的。
ちなみに『S型』とは『強襲揚陸艦スパルタン』の配備機という意味。第1部でア・バオア・クーに潜入したのとは別物になります。潜入した機体『ガンダムヘッド』は頭部のみがガンダムタイプで、頭部以下はジム(TH版)と同形状です。
ポリキャップはPC-001を全身各部に使用します。関節強度はまずまず高め。背部に程よい大きさのバックパックを装備していますが、後方への負荷は少なく、自立は安定しています。
ビーム・ジャベリン、シールド☓2、ビーム・ライフル、サブアーム(左右)、シールド用マウントパーツ(2種)、シールド用グリップパーツ☓2、ビーム・サーベル刃☓2、武器持ち手(左右)、握り手(左右)、手首に角度のついた握り手(右)が付属。
HGジム(TH版)の余剰パーツも付属します。HGジム(TH版)としては組めませんが、一部を組み替えてカスタマイズしても面白そうですね。ちなみに背部形状が違うので、ジム(TH版)のバックパックを装備させることは出来ないようでした。
専用のマーキングシールが付属します。シールはバックパックのチェック柄のみ貼り付けています。
各部をアップで見ていきます。ゲート跡が雑でお見苦しい点があるかと思いますがご了承くださいm(_ _)m
頭部はガンダムタイプのイケメンフェイス。ですが額に定番のV字アンテナはなく、連邦のマークと2本のアンテナが特徴的に造形されています。ツインアイは青いクマドリもまとめてシールでの色分け。顎も青いシールで色分けしますが、ダークブルー成型色なので貼らなくても問題はなさそうです。額の連邦マークはモールドにシールを貼っての色分け。
メット部は前後の簡単な組み合わせで上部から側面にかけて合わせ目ができます。消す場合はフェイスパーツの後ハメが必要。とさか前後のセンサーはグリーンのシールでの色分けで、左右のダクトはグレーに塗り分けが必要です。アンテナは丁寧に造形されていますが、その分細いので折ってしまわないように注意です。
胸部もガンダムタイプらしい定番のデザイン。ですがエアインテーク内部に網状のモールドが造形されるなど、少しサンボル版らしい個性的なデザインになっています。ジムと似ていますが新規造形での再現。網状のエアインテークは内部が別パーツ化されているので、塗り分けるとまた違った感じになりそうです。
首は内部がボールジョイント型ポリキャップですが、周りはシーリング状のパーツでの再現となっています。肩は前方への展開ギミックがあり、腕を適度に前後スイングさせることができます。
腰部は内部やV字部分以外はジム(TH版)と同じ。プレーンな形状でモールドも簡単に入っている程度です。中央のV字はモールドの上からシールを貼っての色分けで、各面のアーマー上部シンプルには黄色いシールでの色分けです。
腰アーマー裏にモールドはなし。モールドや凹凸も殆どないのでかなり自作しやすそうです。
腕部はショルダーアーマーのフックや側面のダクトがメカニカルですが、それ以外はジム(TH版)と同様、比較的シンプルでまとまりのあるデザインです。肩内部や肘関節のシーリングも印象的。
上腕、肘のシーリング、前腕共に左右の組み合わせで前後に合わせ目ができます。上腕の合わせ目は段落ちっぽいですね。肘のシーリングと前腕は分解できるので合わせ目消しはし易いですが、シーリング部分はシワ状のモールドが入っているので細かな処理が必要そうです。
ショルダーアーマーは前後の組み合わせで上部の一部に合わせ目ができます。内部のシーリングを挟むので、合わせ目消しは後ハメなどが必要そう。上部フックや側面のダクトは別パーツ化されているので塗り分けると映えそうです。前後の溝にある細いダクトはグレーに塗り分けが必要。
脚部も比較的シンプルな量産機らしいデザインで、大腿部はHGジム(TH版)からの流用。膝から下は陸戦型ガンダムS型用に新造されています。ふくらはぎのスラスターは別パーツ化。
大腿部は前後の組み合わせですが、側面の合わせ目は段落ちモールド化されています。膝から下は左右と前装甲の組み合わせで、各部の合わせ目は段落ちや段差モールド化。こちらも膝関節のシーリング部分にガッツリ合わせ目ができます。
ソール部は足底がホバークラフト型で特徴的。丸みのある個性的なデザインになっています。
足裏が別パーツで蓋をするようになっているため、肉抜き穴などはありません。アンクルアーマーは上下に可動。ジム(TH版)からの流用でエッジの効いたシンプルなタイプ。左右の組み合わせですが合わせ目は段差モールド化されています。足首のシーリングは合わせ目あり。
大型バックパックは上部にサーベルホルダー兼用のサブアームや予備の武器弾薬(ビームライフルのマガジン)を備えるなど特徴的な形状になっています。スラスター基部のチェック柄は組立時に指示があったのでマーキングシールを貼っています。サーベル柄はポロリし易いので注意。
バックパックはシンプルな2ダボ接続。ですが胴体側に凸がある仕様なので、他キットで適合するバックパックはあまりなさそうです。
上部サブアームは点型のモールドや閉じたマニピュレーターなどがメカニカルに造形。モナカ割の簡易的な作りで一部に合わせ目ができます。バックパック中央の予備武器弾薬はフックが開口されていないので、見栄えよくしたい場合は開口処理が必要です。
収納型のサブアーム、予備武器弾薬(マガジン)は共に脱着が可能。予備武器弾薬(マガジン)はニコイチになっているのでビームライフルに組み付けることはできません。
サブアームは展開状態のものに組み替えが可能。収納型のサブアームがあった位置に組み付けます。サーベルホルダーは適度に可動します。
左右で形状が違っているので組み間違えないように注意。裏面は肉抜き穴なので、きれいに塗装・製作したい場合は肉抜き埋めが必要です。
下部のスラスターは3基のバーニアが別パーツ化。イエロー成型色なのはなかなか個性的なカラーリングでいいですね。
HG陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べてサイズを比較。特別大きくはなく、陸ジムよりとほぼ同等か若干大きい程度です。陸戦型ガンダムS型の全高は不詳。
HGアトラスガンダムと並べて。サンダーボルト版のキットはMSVのような要素を持ちつつも、多数のサブアームやアトラスガンダムの背骨状のフレームなど、ひとクセある機体が多いので面白いですね。
頭部は適度に上下可能。左右へも多少顎が干渉しますが水平程度までスイング可能です。
腕は水平よりも少し上まで上げることができます。肘は2重関節でV字程度まで深めに曲げることが可能。
肩はボールジョイントなりに前後スイングが可能。前方へは肩が引き出せるのでその分広めにスイングします。
可動部が腹部のボールジョイントのみなので、上半身はわずかに前後する程度。
腰は干渉なく360度回転させることができます。アクションベースやスタンドへは、通常通り股間部に3.0mm軸を差し込んでのディスプレイです。
前後開脚は、前方へは水平程度まで展開可能。後方はリアアーマーが干渉するので制限されます。
膝は2重関節で90度程度まで曲げることが可能。膝装甲裏はパーツできっちりと蓋がされています。
足首はまずまず広めに前後します。左右へも適度に角度変更が可能。
左右への開脚は、水平まではいきませんが広めに展開可能。開きすぎるとサイドアーマーが外れるので後方に向けています。
足の付け根がロールするので内股、がに股は幅広く可動します。
膝のシーリング可動が個性的ですが、立膝はきれいな姿勢で再現することができました。
可動域の総括としては、特別よく動くわけではないですが、腰はきっちりと360度回転しますし、左右への開脚、肘膝の曲げる角度もまずまず広め。劇中のような量産機らしいポーズを再現するくらいであれば全く問題なさそうです。
ビームライフル。エネルギーパック式ビーム・ライフルになります。大気圏内においても十分な火力と射程を実現しているとのこと。背部の大型バックパックに6基の予備マガジンを備えています。
本体部分はモナカ割で上下に合わせ目ができます。上部のマガジンとフックは別パーツ化されているので、塗り分けるとまた雰囲気が違ってきそうですね。フォアグリップの可動ギミックなどはなし。
シールド。主に腕部に装備されるジムと同様のシールドになります。HGのサンボル版キットに付属しているものとほぼ同じ。表面の十字やのぞき穴はパーツできっちりと色分けされています。
裏面はHGUCなどとは異なるデザイン。裏面は全体が白なのでグレーに塗り分ける必要があります。
ビームジャベリン。ビーム刃を展開する槍状の格闘兵装になります。劇中ではグフ(サンダーボルト版)との対峙シーンで使用。パケ絵にも描かれている印象的な武装です。
先端には複数本の小型ビーム刃が造形されています。中央の太いビーム刃はモナカ割で合わせ目あり。クリアパーツは合わせ目を消すのが難しいですが、そのままでもあまり目立たないのかなと思います。経年劣化するとバラけやすいので注意。
一通り武装して。
ビームライフルは付属の武器持ち手で保持します。ダボ固定ではないのでハンドパーツにグリップを差し込むだけで保持が可能。ダボ固定ではなく少し隙間があるため、若干ふらつきがあるので注意です。武器持ち手は左右が付属するので、ビームライフルをどちらの腕で構えさせることもできます。
頭部にV字アンテナがないぶんクセや違和感などを感じやすいですが、全体的にミリタリー調の装甲、武装なのでポーズが格好良く映ります。なかなか渋いですね。
シールドは通常はフック付きのジョイントパーツを使用します。ポリキャップ接続でしっかりと固定されているのでポロリなどの不安はありません。前腕にもダボ固定でしっかりと組み付いています。
シールドは通常のジョイントパーツを使用することで配置変更が可能。
白いグリップパーツを組み付ければシールドをハンドパーツで握らせることもできます。ただしグリップが細身で隙間があるので、シールドがクルッと角度が変わりやすいので注意です。画像ではグリップを縦にしていますが、横にするとシールドが傾きます。
シールドはサブアームでも保持が可能。白いグリップパーツにパチンとはまり込むのでしっかりと保持させることができます。
ビームサーベル刃はクリアピンク成型色での再現で劇中の仕様どおり。柄が細身でダボ固定でもないため、ハンドパーツがからスルッと抜けやすいので注意です。関節強度や足首の可動範囲が適度にあり、ソールの接地性が高いので片足での自立も可能です。
ビームライフルもサブアームで保持が可能。サンダーボルト版のMSらしい攻撃パターンを楽しむことができます。
両サブアームにビームライフルやシールドを装備させることでフル装備状態が再現可能。
シールドが2枚付属するので、サブアームと右腕部で2枚配置することも可能。付属のジョイントパーツを使用すれば両前腕にシールドを装備させることもできます。ただし右側のサブアームにシールドを持たせることは出来ないようでした。無理にはめ込むと破損する場合があるので注意。
ビームジャベリンはハンドパーツを分解せずとも、ビーム刃の根元を外せばハンドパーツ穴に通すことができます。特にスルッと移動したりすることもなく保持させることが可能。
両手持ちもラクに再現可能。とくにぎこちない感じもなかったです。経年劣化するとハンドパーツがバラけやすくなるので注意。
手首に角度の付いたハンドパーツを使用すれば、ビームジャベリンで突くようなポーズも再現可能。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。V字アンテナがない頭部が個性的でひとクセありますが、全体的に見るとレトロなジム系で、関節にはサンボル版特有のシーリングが造形されるなどミリタリー感があって格好良いですね。武装類もHGUCのものとは少しずつ違っているのでより良く見えます。シーリング部分こそ合わせ目ができますが、各部ともそつない作りで素組みでも十分な仕上がりになっているのもいいですね。
気になる点は、バックパックのサーベル柄とサイドアーマーが比較的ポロリし易いので注意です。予め補強しておいたがほうが不安が少なく取り扱えるかと。ビームライフルはできればグリップにダボ固定できると良かったですね。
サブアームも形状こそ左右で異なるものの、逆に違った表現ができて面白いですし、武器を組み付ければ4本腕のような迫力ある攻撃シーンが演出可能。ビームジャベリンも角度の付いた持ち手で劇中の印象的なシーンが再現できるなど表情が付けやすいです。武装バリエーションが豊富でポージングも多彩。独特の魅力を持つ玄人好みのキットになっているのがいいですね。
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