今回は、2016年5月に発売されたHG 1/144 MS-05 ザクI(デニム/スレンダー機)のレビューをご紹介します!
HG ザクI(デニム/スレンダー機)は、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するMS『MS-05 ザクI(デニム/スレンダー機)』の1/144スケールキットです。ザクIのシンプルな機体形状を新規パーツを用いて再現。2種類の肩パーツとマーキングのテトロンシールにより、デニム機とスレンダー機が選択式で再現可能なキットになっています。対艦ライフル、MS用バズーカA1型、MS用マシンガンといった武装が付属。価格は1,870円(税込み)です。
コスト高によって採用が見送られたMS-04「ブグ」に替わって量産されたジオン公国軍量産型MS第1号で、劇中ではルウム戦役にて登場。シャア専用ザクⅡより対艦ライフルを受領するなど、指示を受けつつ戦場を駆け抜けた『MS-05 ザクI(デニム/スレンダー機)』がHGでキット化。
2015年4月に発売されたHG シャア専用ザクII(オリジン)の内部パーツやソール部、武装類などを流用しつつ、ザクⅠの特徴的な各部外装が新規パーツを用いて再現されています。右肩の装甲を組み替えることでデニム機とスレンダー機が再現できるコンパーチブルキット。まずは右肩が軽装なデニム機で組んでいます。
成型色はくすみのあるグリーンとパープルグレーのツートンカラー。ミリタリー調で渋みのあるカラーリングが再現されています。その他、頭部モノアイやソール部は黒に近いダークグレー、武装類はグレー、内部・関節はダークグレー成型色での再現となっています。
シールは頭部モノアイやデニム機の右肩装甲、武器センサーを補いますが多くはありません。ヒート・ホーク刃など一部を塗装する必要がありますが、素組みでも十分なくらいの色分けが再現されています。
ダークグレー成型色の内部・関節パーツにはKPSが使用されています。ABSは不使用。
ポリキャップはPC-001を肩や胴体部、足の付根、足首などの関節に使用します。関節強度はまずまず高め。特に負荷のかかるような装備はなく、足底も平らで接地状態が良いため、自立は安定しています。
MS用対艦ライフル、MS用バズーカA2型、MS用マシンガン、ヒート・ホーク(展開型、収納型)、予備マガジン(MS用バズーカA2型用✕2、MSマシンガン用✕1)、MS用バズーカA2型用ジョイントパーツ、武器持ち手(右)、平手(左)、ディスプレイ用ジョイントパーツが付属。
スレンダー機用の肩部パーツ(L字シールド付き)が付属。
スレンダー機に組み替えて。説明書ではデニム機とスレンダー機を選択して組み立てるようになっていますが、ポリキャップに予備があるので肩部をそのまま組むことができます。なのでパーツをバラす必要がなく、肩部をごっそり組み替えるだけで簡単にスレンダー機に変更することができます。
HGシャア専用ザクⅡ(オリジン)の余剰パーツがいくつか付属。パーツが足りないのでザクⅡとして組むことはできません。
専用のマーキングシールが付属します。
HGシャア専用ザクⅡ(オリジン)(以下、ザクⅡ)と比較しながら各部を見ていきます。
頭部をザクⅡと並べて。頭部は動力パイプのないザクⅠ特有の形状。のっぺりとしたデザインで、モノアイを半分に分けるような中央装甲や手前に突き出た口ダクトが印象的に造形されています。
メット部表面にはデザイン性の高いモールドが造形。上から被せる仕様なので真横に合わせ目ができます。目立つのでそのまま消すことになりそうですが、何かと面倒なので段落ちモールド化したほうがラクではありますね。
モノアイにモールドはなく、表面にピンクのシールを貼っての再現です。マーキングシールも選択可能。マーキングシールはふちにぼかしの入ったタイプになります。
他のオリジン版ザクと同様、下部のレバーを動かすことでモノアイを左右に振ることができます。
胸部・腹部をザクⅡと並べて。形状は似ていますが、各部外装がザクⅠ用に新造。左右は肩に胸部バルカンのないフラットな装甲で、中央もザクI用の段差のある装甲になっています。
首や首周りの装甲もザクⅠ用に新造。スリット状の首パーツは隙間から見えても違和感のないメカニカルなデザインになっています。首パーツは簡単な組み合わせで合わせ目ができます。肩はザクⅡと同じ構造でポリキャップが引き出し可能。
オリジン版ザクと同じフォーマットなので胸部装甲は左右にスイング可能。
腰部をザクⅡと並べて。腰部装甲は殆ど形状が同じですが、各部ともザクⅠ用に新造されています。何気にフロントアーマー上部の形状が少し違っています。
フロントアーマーは適度に展開可能。サイドアーマーはボールジョイント型ポリキャップ接続で前後にスライドします。
腰アーマー裏にモールドはありません。各面ともフラットな状態。
股間軸は前後にスライド可能。固定強度があまり高くなくロック機構もないため、少し弄るとスライドしやすくなってきます。個体差があるかもですが、自然にスライドして面倒と感じる場合は補強したほうが良いかも。
デニム機の右腕をザクⅡと並べて。ザクⅡが肩にL字シールドを装備しているのに対し、ザクⅠデニム機は黒と黄色のストライプ模様が入ったフレームになっています。上腕以下もザクⅠ用の外装が新造。細かなモールドが多く、デザイン性も高めです。
腕部には簡単な内部フレームが造形。肩部は新造ですが、上腕以下のフレームはザクⅡと全く同じものになります。
上腕は筒型で合わせ目はなし。前腕は左右の組み合わせ箇所がいくつかあり、前後共に合わせ目ができます。消す場合は後ハメなど細かな処理が必要。
肩部装甲は一部が抜かれた特徴的なデザイン。別パーツ化されているので塗装する場合もラクそうです。ストライプ模様はホイルシールでの色分け。
右肩部を組み替えてスレンダー機に。スレンダー機は右肩がザクⅡと同じL字シールドを装備していますが、肩部装甲はスリットモールド入りのものになっています。
L字シールドは他のオリジン版ザクと同様、簡単な2枚重ねですが、裏面には細かなモールドがデザインされています。モールドに沿って塗り分けるとかなり映えそう。
L字シールド表面には2基のバズーカ用マガジンがマウント可能。しっかりと固定できるので特にポロリなどのストレスはありませんでした。マガジンは簡単なモナカ割で各面に合わせ目ができます。
肩部装甲は合わせ目がモールド化されています。個体差かもですが、ボールジョイントとL字シールドとの接続が緩く、垂れてしまうようでした。緩いようなら予め補強しておいたほうが良いかもです。
左肩にはスパイクアーマーの原型のような球状アーマーを装備。左右の組み合わせで中央に合わせ目ができます。消す場合は後ハメなど細かな処理が必要。
球状アーマーは広く展開可能。
脚部をザクⅡと並べて比較。大部分のデザインは同じですが、側面に動力パイプのない軽装スタイルになります。裾後部も一部が曲状に欠けた状態。ザクⅡ共にアポジモールドがあっさりしているのは少し気になるかも。
脚部も全体に内部フレームが造形。こちらはすべてザクⅡと同じものです。外装で隠れる箇所にも動力パイプモールドが造形されているのにはこだわりを感じますね。
大腿部は前後の組み合わせですが、側面の合わせ目は段落ちモールド化。膝から下は構造がザクⅡとは異なり、モールドに沿ってパーツ分割されているので合わせ目はできません。このあたりはザクⅡから少し進化しています。機体としてはザクⅡが進化形態ですが、ガンプラはザクⅠが進化型という・・・;
ソール部は一部パーツが新造されていますが形状はザクⅡと同じ。
足裏もメカニカルなモールドがデザインされています。肉抜き穴などはありません。
足首関節パーツの可動に合わせてかかとが跳ね上がります。
バックパックをザクⅡと並べて。ザクⅡがアポジや動力パイプなどメカニカルにデザインされているのに対し、ザクⅠのものはシンプルなボックスタイプになっています。色気はないですが無駄のないデザイン。構造はザクⅡと同じですが、側面の合わせ目はモールドとしておいても良いかも。
下部バーニアはボールジョイント型ポリキャップ接続で適度に可動します。内部もスリット状のモールドが造形。
バックパックはシンプルな2ダボ接続ですが、HGUCやHG水星の魔女シリーズとは幅が違うので組み替えることはできませんでした。
HG陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べてサイズを比較。Ⅰ年戦争初期に生産された機体なので小柄。陸ジムとは同程度の大きさです。ザクⅠの頭頂高は17.5m。
ベースのHGシャア専用ザクⅡ(オリジン)と並べて。全身の動力パイプが無いのと、胸部や腕部、脚部(裾)など形状がかなり違っています。劇中ではわずかに共演した程度ですが、その印象的なシーンが再現できるのは良いですね。
2016年12月に発売された後発のHGシャア専用ザクIと並べて。シャア専用ザクⅠはS型なので各部にザクⅡ用の装備が施されています。シャア専用ザクⅠはジオン独立戦争緒戦のフォン・ブラウン宙域戦に参加。
HGUC ザクⅠとも並べて。デニム/スレンダー機はオリジン版のフォーマットなのでプロポーションがかなり違っています。ですがどちらにもそれぞれの味や良さがありますね。
首がボールジョイントやヒンジ接続で、頭部は適度に上下させることができます。左右へも干渉なくスムーズにスイング可能。
腕は左右とも水平程度まで上げることが可能。球状の左肩アーマーは可動するので干渉が避けられます。肘は2重関節で深くまで曲げることが可能。
肩はボールジョイント接続で広めに前後スイングが可能。前方へは胸部やポリキャップの展開ギミックによって更に幅広くスイングします。
腹部と胸部のボールジョイントによって上半身は適度に前後スイングが可能。
腰は干渉なく360度回転可能。アクションベースやスタンドへは、他のオリジン版ザクと同様、付属のジョイントパーツを股間部に組み付けてのディスプレイです。
前後開脚は前後とも幅広く展開可能。後方はリアアーマーが可動しませんが、避けるようにすれば広く展開させることができます。
膝は2重関節でくの字程度まで曲げることができます。
足首は前後左右とも適度に可動。
左右への開脚は水平程度まで展開可能。広げすぎるとサイドアーマーが外れるので注意です。
脚の付け根がロールするので、内股、がに股ともに幅広く展開させることができます。
立膝はかなりきれいな姿勢で再現することができました。
ザクⅡと各部可動域を比較して。
可動域の総括としては、ザクⅡとは若干形状が異なる部分はありますが、フォーマットが同じなので可動域はほぼ同じ。ただし各部に動力パイプがないぶん取り扱いやすく、そのぶん可動にも少し無理がきくようなのでより柔軟に可動させることができそうです。
MS用対艦ライフル。MS用に開発されたライフルで、主に対艦戦で使用。艦の装甲を貫いた後に弾子を撒き散らし、内部から破壊する特殊弾などを高初速で打ち出す武装になります。HGシャア専用ザク(オリジン)に付属しているものと同じ。
本体部、砲口共に左右の組み合わせで上下などに合わせ目ができます。細かく造形されているので合わせ目を消すのはなかなか至難の業;ですが緻密にデザインされていて造形的な質は高いです。センサーは2個パーツ構成で合わせ目はなし。表面をピンクのシールで色分けします。
MS用バズーカA2型。MSが携行する大型ランチャーで、後部にマガジンを装填するA2型のバズーカになります。装填数は3発。こちらも主に対艦戦で破壊力を発揮し、ルウム戦役ではシャアの戦績にも貢献。
本体部分は左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。後部マガジンは脱着が可能。L字シールドに装着可能な予備マガジンとも交換することができます。
グリップは前後に幅広くスイング可能。
フォアグリップ、センサー共に上下にスイングすることができます。センサーはピンクのシールでの色分け。クリアパーツは使用されていません。
付属のジョイントパーツをバックパックに組み付けることで、MS用バズーカA2型を懸架させることができます。ただしバックパックに組み付けるジョイントパーツの固定が緩いので注意。
MS用マシンガン。実体弾を連続して射出することができるMS用の携行武装になります。宇宙と地上の両方で運用でき、ザク以外のMSでも広く運用されているとのこと。HG高機動型ザクⅡ(ガイア/マッシュ専用機)からの流用になります。
本体部分は左右の組み合わせで上下に合わせ目ができます。こちらも造形は細かく、デザインにチープさは見られません。
フォアグリップは左右に、センサーは上下にスイング可能。予備のドラムマガジンはリアアーマーにマウント可能。説明書に記載はないですが、サイドアーマーにマウントすることもできました。
ヒートホーク(展開型、収納型)。ザクに装備される斧型の斬撃武器になります。ブレード部分が赤熱化し、高熱によって敵機の装甲を溶断。
どちらも1個パーツ構成ながら、造形はしっかりとしています。展開型の刃の部分はシルバーに塗り分けが必要。
収納型はサイドアーマーにマウント可能。説明書に記載はありませんが、リアアーマーにマウントすることもできました。サイドアーマーに組み付ける場合は、キットを弄る際に手が当たると外れやすいので注意です。
まずはデニム機で一通り武装して。
ザク・マシンガンは付属の武器持ち手で保持します。手のひらでダボ固定するのでしっかりとした保持が可能。
ザク・マシンガンは後部ストックが特徴的で前腕と干渉し易いですが、武器持ち手の手首が反った形になっているのでポロリなどのストレスはありません。若干銃口の向きがズレますが、それを踏まえつつ構えるようにします。
ポロリなどはほぼ無いですし、軽装なので、可動時の干渉などもなく、サクサクとポーズの変更が行えるのがいいですね。
他のオリジン版ザクと同様、股間部に組み付けるディスプレイ用ジョイントパーツが徐々に外れやすくなってくるので注意です。それとジョイントパーツを組み付けると干渉で内股ができなくなるのでその点も少し注意が必要。
両手持ちもラクに再現可能。フォアグリップはそのまま左手に差し込むだけで良いですし、肩も幅広くスイングするので両手持ちでのぎこちなさはありません。
ヒート・ホーク(収納型)はダボ固定ではなく、シンプルにハンドパーツに差し込んで保持させます。太い部分で握らせるとある程度固定できるので、スルッと移動したりクルッと反転したりすることはなかったです。経年でハンドパーツが緩くなってくると動くようになるかも。
MS用対艦ライフルもマシンガンと同様、付属の武器持ち手で保持させます。
大型武装なので、構えるだけでも十分に迫力あるポーズを再現することができます。ただ、ロングサイズの武装で重量があるので、腕をしっかり伸ばすとどうしても垂れてしまいます。なのでしっかりとした片手での射撃ポーズを取らせたい場合は肩部ボールジョイントなどを補強する必要がありそうですね。
平手で砲身を支えるようにして射撃ポーズを再現。狙いを定めるようなリアルなポージングを演出することができます。平手も自然な形なので支えるポーズに違和感はないですね。平手で支えると特に垂れることなく構えることができます。
肩部を組み替え、スレンダー機で簡単に武装して。
MS用バズーカA2型も対艦ライフルやマシンガンと同様、付属の武器持ち手で保持させます。ダボ固定できるので安定した保持が可能。
射撃ポーズがかなり様になりますね。劇中でもシャア専用ザクⅡが乱れ撃っていた武装でザク系との相性はバツグンです。ただしこちらもある程度の重量があるので、構え方によっては腕が垂れてしまうことがあるので注意です。
バズーカの両手持ちもラクに再現可能。
多数の武装が付属するので、装備を変えることでポージングを多彩に演出することができます。劇中で活躍シーンがなかったぶん、キットでは十分な楽しみ方ができそうですね。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。オリジン版のフォーマットなので、旧型のザクⅠもかなりスタイリッシュでデザイン性の高いキットに仕上がっています。プロポーションもよくモールドもメカニカル。カラーリングも素朴ながらセンスの良さを感じさせますね。デニム機とスレンダー機の両方が再現できるなど演出力も高いです。
気になる点は、他のオリジン版ザクと同様、ディスプレイ用のジョイントパーツがかなり外れやすいです。ポーズによってはすぐにキットが落下してしまうため、ポージングが制限されやすいのが難点。補強などしてストレスなくポーズを取らせたいところです。それとL字シールドのボールジョイント接続部など、部分的に強度が弱い箇所があり、ポーズがヘナっとなることがあるので注意です。
武装類が豊富に付属するのでポージングの幅が広がりますし、どれもザクⅠとよく合っていて格好良く演出することができます。合わせ目こそできますが造形は十分。可動も柔軟で自由度が高いので、劇中にはなかった活躍シーンをイメージしながら、ザクⅠ(デニム/スレンダー機)の勇姿を表現してみるのも良いのではないでしょうか。
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