今回は、HG 1/144 ベギルベウトルシュ(ケナンジ小隊所属機/リドリック小隊所属機)のレビューをご紹介します!
HG ベギルベウトルシュ(ケナンジ小隊所属機/リドリック小隊所属機)は、『機動戦士ガンダム 水星の魔女 ヴァナディースハート』より、MS「CEK-043LBK ベギルベウトルシュ」の1/144スケールモデルキットです。地上戦仕様の特徴的な機体形状を新規パーツを用いて再現。頭部選択式により、ケナンジ小隊所属機とリドリック小隊所属機のどちらかを再現可能となっています。価格は2,420円(税込み)。プレミアムバンダイ限定の商品です。
グラスレー社がベギルベウを元に、地球での運用に特化して改造・開発した機体で、ドミニコス隊に配備され、ケナンジ小隊所属機とリドリック小隊所属機で頭部形状の異なる仕様を持つ機体「CEK-043LBK ベギルベウトルシュ」がHGでキット化。
2022年8月に発売されたHGベギルベウをベースに、ベギルベウトルシュの特徴的な頭部、脚部前面に装備するグリーブ、背部の大型ホバーユニット、ビームライフルなどが新規造形で再現されています。
まずはケナンジ小隊所属機で組んでいます。頭部以下の形状はケナンジ小隊所属機、リドリック小隊所属機共に同じです。
成形色は淡めのパープルとホワイトを基調に、頭部や胸部、脚の付け根などにクリアパープルを配色。その他、内部や関節、腹部、ホバーユニットのノンキネティックポッド用アームなどはブルーグレー成形色での再現となっています。
ホイルシールは頭部モールド類や肩、足の付根の円形モールド、ビームライフルのセンサーを補うくらいで少なめ。グリーブやホバーユニットのモールド、ノンキネティックポッドの一部などを塗り分ける必要がありますが、組み立てるだけでも十分なくらいの色分けが再現されています。
ブルーグレーのパーツには軟質プラスチック素材であるKPSが使用されています。ABSは不使用。
ポリキャップも不使用。肘はPSとKPS、膝はKPSパーツ構成で関節強度はまずまず高め。背部にホバーユニットを装備しているため、後方に負荷がかかって倒れやすいですが、うまくバランスを調整することで自立は可能です。
■付属品
ビームライフル、ビームガンユニット✕2、ビームサーベル刃✕2、リドリック小隊所属機用の頭部パーツが付属。
HGベギルベウ用の余剰パーツがいくつか付属します。
■内部フレーム
腕部以外の全身各部には簡単な内部フレームが造形。フレームはHGベギルベウと全く同じものがそのまま採用されています。
■各部形状
HGベギルベウトルシュの各部をHGベギルベウと比較しながら見ていきます。
まずは背部ホバーユニットを外した状態で全身から。脚部にグリーブを装備しているため、ボトムヘビーなシルエットになっています。頭部左右のアンテナが長く平たいので、どことなくリスや狐のような、動物的な容姿にも見えますね。
■頭部
ケナンジ小隊所属機の頭部をベギルベウと並べて。大部分はベギルベウと同形状ですが、左右には長く特徴的なアンテナが造形。アンテナには適度なモールドもデザインされていてメカニカルさや存在感があります。
上下の組み合わせですが、合わせ目はパーツによる色分け箇所になっていますし、しかも段落ちモールド化されています。
額の星型モールドはクリアパーツで覆われた状態で神秘的。
左右のセンサーと額の星型モールドはクリアパープルパーツにシールを貼っての再現。シールを貼らずに一部だけ塗装してクリアパーツを活かすこともできます。
頭部は底面パーツをベースに、上部パーツを組み替えることでケナンジ小隊所属機とリドリック小隊所属機の仕様を選択することができます。
リドリック小隊所属機頭部。シルエットはベギルベウと似ていますが、上下2層のヒトクセあるデザインで造形されています。ケナンジ小隊所属機よりも少しヒール感が強そう。どことなく妖精のような雰囲気もありますね。
リドリック小隊所属機用の頭部を組み付けて全身から。
■胴体部
胴体部をベギルベウと並べて。殆どの部分はベギルベウと同じですが、背部はホバーユニットをマウントするため、リアアーマーがオミットされています。腰部フロントアーマーは上下に可動。
胸部のコックピットのような部分はドーム状のクリアパーツでの再現。白い装甲にはメカニカルなモールドが造形されています。
首はダブルボールジョイントで柔軟に可動。肩もボールジョイント接続で前方に展開させることができます。胸部もボールジョイントによって適度に反らすことが可能。ボールジョイント率が高く、より柔軟な可動を実現しています。
背部は標準的な2ダボ接続なので、一部のHGUCやHG水星の魔女、HG SEED FREDAMのバックパックと交換するなどカスタマイズして楽しむことができます。HGベギルベウ、HGブラックナイトスコードカルラのバックパック共にとても良く似合います。
■腕部
腕部をベギルベウと比較して。上腕以下の形状は同じですが、ショルダーアーマーはフレームのみ同型で外装はトルシュ用に新造。少し落ち着いたデザインになっています。
肘はヒンジ接続ですが、前後で挟み込むことで、ある程度関節強度が保たれるようになっています。
ショルダーアーマーのみベギルベウと比較して。合わせ目ができないパーツ構成。
■脚部
脚部をベギルベウと並べて比較。基礎部分の形状は同じですが、トルシュは前面に大柄なグリーブを装備。ボリューム感あるシルエットに変化しています。ちなみにグリーブとは「すね当て」、「向こう脛」といった意味。
グリーブは膝から伸びるアームによって幅広く展開させることが可能。アームは2個所が可動し、グリーブを展開、折りたたみなど柔軟に可動させることができます。特に合わせ目などもありません。
脚部本体。ベギルベウと大部分は同じですが、膝の装甲がオミットされ、大腿部前面の装甲はトルシュ用に肉厚なものが新造されています。
グリーブ。前面の装甲はかなり肉厚でゴツゴツとした雰囲気。強度を感じさせるようなボリューム感あるユニットになっています。こちらも合わせ目はなく完成度は高め。膝のダクト内部はグレーに塗り分けが必要です。
内側は多数のパーツが組み合わさった状態でメカニカル。裾の装甲内側にはモールドがデザインされていますし、裏打ちパーツもきっちりと造形されていてチープな感じはありません。
内側のバーニア(スラスター)部分は上下に可動。上部のクローも前方に展開することができます。クローは棘感があってシャープ。収納時もモールドがデザインされているため、見栄えが良いです。
脚の付け根はベギルベウと同じ、グラスレー社製MS特有の球型タイプ。内部はシールを貼ってクリアパーツを被せる仕様になっています。
ソール部をベギルベウと並べて比較。ベギルベウはソールがクロータイプなのに対し、トルシュは三角型で接地時のバランスを重視したような仕様になっています。
足裏はスリットモールドなどが造形。つま先、かかと共に可動し、表情を変化させることができます。接地時の細かな調整もできそうですね。
■バックパック
背部をベギルベウと並べて比較。ベギルベウが生物の羽のようなユニットを装備しているのに対し、トルシュはスカート状のホバーユニットを装備。宇宙仕様のベギルベウとと地上仕様のトルシュとで形状が大きく変化しています。ノンキネティックポッドは共通の装備。
ホバーユニット。左右のウイング部とアームで接続された2基のノンキネティックポッド、中央のスラスターで構成された幅のあるユニットになっています。
ベギルベウトルシュ本体とは臀部への角型ダボ接続。それなりに固定強度があるので簡単に外れることはないようでした。リアアーマーを外せば通常のベギルベウにも装備させることができます。
ユニット基部。表面にはメカニカルなモールドがデザインされ、一部はパープルのパーツで色分けされています。裏面の六角型スラスターはグレーに塗り分けると良さそう。
左右のウイング部。こちらもパーツによるお洒落な色分けを再現。左右の組み合わせ箇所が多いですが、合わせ目は各部とも段差や段落ちなどでモールド化されています。
後部のスラスターは上下に可動。表情を変化させることができます。
前面のハッチも展開でき、内部からサーベル柄が露出。取り出してビーム刃を組み付ければ、ビームサーベルとして使用することができます。ハッチはヒンジ接続ですが、展開すると干渉で少し外れやすかったです。
ノンキネティックポッド接続用のアーム。KPSパーツによるヒンジ接続、1ダボ接続などで各部がフレキシブルに可動します。ヒンジ接続部はあまり強度が高くなく、自然に展開したりすることがあるので注意です。何度も可動させるとパーツが白化するおそれもありますね。
ノンキネティックポッドはベギルベウと同じ。ただし一部ダボ穴はクリアパーツで蓋がされています。このクリアパーツも個体差か、少しポロリしやすかったです。1周するモールドはグレーに塗り分けが必要。
ホバーユニットの基部は上下に可動。角度によってはベルギベウトルシュの自立が難しくなるので注意です。
左右のウイングも適度に可動。表情を変化させることができます。
■他キットとの比較
HGUC RX-78-2ガンダム、HGUCνガンダム(ファンネルなし)と並べて大きさを比較。RX-78-2ガンダムと同等程度の大きさです。ただし脚部グローブや背部ホバーユニットに幅があるので、ディスプレイ時はある程度スペースを確保したほうが良いかもです。
ベースのHGベギルベウと並べて。成形色はほぼ同じ。各部形状が違っているため、シルエットはかなり違って見えますね。いかにも別仕様機といった感じ。
同作品登場機であるHGガンダムルブリスジウ、HGガンダムルブリスアノクタと並べて。どれも少しクセのあるデザインで特徴的。HG水星の魔女シリーズはどれもクォリティが高く、細部にまでこだわりが感じられます。
グラスレー社製のHGベギルペンデと並べて。こちらも似た箇所は多いですが、ベギルペンデは少し禍々しい雰囲気があるかなといった印象。ベギルベウトルシュのほうが清潔感があって紳士的な雰囲気も。
■各部可動域
各部可動域はだいたいベギルベウと同じ。頭部は広めに上下しますし、腕はY字程度まで上げることができます。肘は1重関節でV字程度まで曲げることが可能。
胸部の付け根が360度回転可能。膝は1重関節ですが、グリーブを展開すればベギルベウと同じ位にまで深く曲げることができます。立膝もきれいな姿勢で再現可能。
腰部が軽装なので、左右への開脚も水平以上に幅広く展開させることができます。足首はボールジョイント接続で適度に角度変更が可能。
可動域の総括としては、脚部にグリーブを装備していますが、脚部自体の可動域はベギルベウと変わらずで幅広く可動させることができます。その他の箇所も軽装で可動は十分。多少背部ホバーユニットやグリーブの干渉に気をつけておけば、十分なポージングを楽しむことができそうです。
■武装類
ビームライフル。 HGハインドリーシュトルムに付属しているものとよく似ていますが、砲口周りの形状が少し違っています。各部にモールドが入っていてメカニカル。
本体部分は簡単なモナカ割ですが、上下の合わせ目は段落ちなどでモールド化。細部まで抜かりなく造形されています。
銃身下部のフォアグリップは左右にスイング可能。上部のセンサーはグリーンの縦長シールでの色分けです。
HGハインドリーシュトルムのビームライフルと並べて。
ビームガンユニット。ベギルベウの装備である「ベイオネット」から実体剣を取り外した武装になります。HGベギルベウからの流用ですが実体刃がなく、ビームガンの部分のみが使用されています。
表面のモールドは細かめ。銃口部分もきっちりと開口されています。
■ポージング
一通り武装して。
ビームライフルはグリップをハンドパーツに差し込むだけで簡単に保持が可能。手甲パーツを外す必要がないので保持、非保持の変更がラクです。
少し背部のホバーユニットと足の付け根の球状部分が干渉しやすいので、ホバーユニットをうまく交わして配置すると良さそうですね。
ビームガンユニットは前腕(手首)に組み付けるだけで装備可能。こちらもサクッと換装させることができます。
右前腕にも装備可能。2基付属するので両手射撃のポーズも再現できますし、軽装なので取り扱いやすいです。
腕部形状が同じなのでHGベギルベウのベイオネットやHGベギルペンデのノンキネティックシールドも装備可能です。各種ともグラスレー社製ということもあってどの武装を装備させても様になるのが良いですね。
脚部のグリーブを展開して。クローを展開すれば、より迫力ある攻撃シーンを演出することができます。どこかで見たような武装ですが、アヴァランチダッシュユニットっぽさもあるのかなと。
膝のアームの強度は高いので、グリグリ動かしても外れたりふらついたりすることはありませんでした。膝を突き出せば、腕で攻撃しているのような個性的なポーズを再現することも可能。
背部のホバーユニットには幅があるので後方からのアオリ視点だとなかなかの迫力が感じられます。スラスター口が可能するので、動かして少し違った表情を楽しんでみても良いかと。
背部のノンキネティックポッドを展開して。ノンキネティックポッドはGUNDフォーマットのリンクを遮断する装備。展開すれば、対ガンダム戦での動きを封じるような演出をすることができます。
ただ、ベギルベウではリード戦で展開状態が再現できましたが、こちらはアームのみなのでそこまで派手な演出はできないようですね。
頭部を組み替えてリドリック小隊所属機仕様に。頭部形状が違うだけでも印象がかなり違ってきます。こちらはヒロイックさが薄まり、少し奇妙な雰囲気が感じられるようになっています。パイロットは善人そうですが・・・;
ビームサーベルは柄が細身なので、少しスルッと移動しやすいです。なので画像のようにビーム刃の付け根で引っかかったりすることがあるので注意です。ビーム刃はクリアピンク成形色での再現。ブラックライトには反応しません。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。白とパープルを基調としたカラーリングは全体的に清潔感があって紳士的。ケナンジ専用機らしい高貴な感じがうまく表現されていますし、機体形状もベギルベウ以上に格好良く、バランスよく仕上がっていますね。グリーブは展開すると重厚な攻撃が繰り出せますし、背部ホバーユニットも造形美を感じさせる作りでポーズを格好良く演出してくれます。
気になる点は、ノンキネティックポッドのアームがヒンジ接続なので、パーツが緩んだりするとふらついたり外れたり、自然に展開することがあります。なので気になるなら少し補強しておくと良さそうです。ただ、ヒンジ部分の強度も少し弱いので、白化させたり破損させたりしないように注意が必要です。
合わせ目なども殆どなく完成度が高め。リドリック用の頭部に組み替えるとそれだけでガラッと雰囲気が変わるのも面白いですし、どんなポーズを取らせても格好良く見えます。ガンダムタイプでも主人公機でもないですが、なぜか痺れるくらいの造形美を感じさせる、不思議な魅力を持ったキットなのが良いですね。
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