今回は、2004年11月に発売されたHGUC 1/144 RGM-79GS ジム・コマンド(宇宙仕様)のレビューをご紹介します!
HGUC ジム・コマンド(宇宙仕様)は、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場するMS「RGM-79GS ジム・コマンド(宇宙仕様)」の1/144スケールモデルキットです。コロニー戦仕様とは異なるカラーリング、バックパック形状を再現。ABS関節の採用により、デザインを崩すことなく様々なポージングが可能なキットになっています。価格は880円(税込み)です。
比較的広範囲な宙域での運用が想定された宇宙戦仕様のジム・コマンドで、劇中では第2話に登場。バーニーがリボーコロニーに貨物運搬として潜入する際、コロニー周辺にてジオン陽動部隊であるリック・ドムⅡやゲルググJ、ザクⅡ改と交戦を繰り広げた「RGM-79GS ジム・コマンド(宇宙仕様)」がHGUCでキット化。
2004年5月に発売されたHGUC ジム・コマンド※をベースに、赤と白を基調とした宇宙仕様のカラーリング、宇宙用の背部バックパック(ランドセル)、ビーム・ガンが新規パーツを用いて再現されています。※大元はHGUCジム寒冷地仕様。
成形色は清潔感のあるホワイト、レッドを基調に、胸部ダクトや腹部、背部バックパック、内部・関節、ビーム・ガンなどにグレーを配色。その他、頭部ゴーグルがクリアグリーン成形色での再現となっています。
シールは腰部や脚部ダクトを補うくらいでわずか。こめかみのバルカンやバックパックのバーニア内部、シールドやビーム・ガンの一部などを塗り分ける必要がありますが、素組みでも違和感がないくらいの色分けが再現されています。
KPSは不使用。内部・関節、バックパックのバーニアといったグレー成型色パーツ、ビーム・ガンなどにはABSが使用されています。なので塗装、スミ入れなどする場合はパーツの破損に注意が必要です。
ポリキャップはPC-123プラスを肘以外の関節各部に使用します。関節強度はまずまず高め。バックパックが軽装で特に負荷のかかるような装備もないため、自立は安定しています。
■付属品
シールド、シールド用ジョイントパーツ、ビーム・ガン、ビームサーベル(ハンドパーツと一体型)、平手(左)が付属。
ジム系のシールド用パーツが余剰で付属します。
■各部形状
形状の異なる背部のみ、HGUCジム・コマンド(コロニー戦仕様)と比較しながら各部を見ていきます。
■頭部
一般的なジムに比べ、比較的面長で近未来的なデザインで造形。幅のあるゴーグルや頬のダクト、左右の丸型装甲が印象的にデザインされています。こめかみのバルカンはグレーに塗り分けが必要。
メット部は前後の組み合わせですが、合わせ目はモールドっぽく造形。消す必要はなさそうです。頬のダクト内部はグレーに塗り分けが必要。
額のセンサーはゴーグルと同じ、クリアグリーンパーツでの再現となっています。
■胴体部
胴体部。こちらも一般的なジムに比べてやや近未来的デザイン。肩のダクトやエアインテーク、腹部コックピットハッチなどがパーツで細かく色分けされています。
腰部は軽装ながら、フロントやサイドアーマーに斜めのスリットモールドが入るなど、重機的な雰囲気も併せ持つデザインになっています。リアアーマーにはサーベルホルダーを装備。
首はポリキャップ構造ですが、可動ギミックはなくシンプルなボールジョイント接続。肩も1軸接続で可動ギミックなどはありません。右肩にはジム・コマンド特有の1本アンテナを装備。差し込みが硬いので、アンテナを折ったり白化させないように注意です。
腰アーマー裏は各面とも特にモールドはなくフラットな状態。
■腕部
腕部。各部とも角型装甲で派手さはないですが、物足りなくない程度のモールドがデザインされています。
上腕は筒型で合わせ目はなし。前腕は左右の組み合わせで前後に合わせ目ができます。肘から分解できるので合わせ目を消すのはラクそう。C面やモールドがデザインされているので、合わせ目を消す場合はモールドなどを潰さないように注意します。右のハンドパーツは武器持ち手のみ。昔のキットのあるあるですね。
肘関節はABSパーツの組み合わせ。前腕にカチッと後ハメできる構造になっています。このフォーマットが後に採用されていないのは強度の問題ですかね。
ショルダーアーマーもデザインはシンプルですが、合わせ目は端でモールド化。側面のスラスターも別パーツ化され、内部には細かなスリットモールドが造形されています。ダクト内部はグレーに塗り分けが必要。
側面のダクトはわずかですが上下に可動。少しだけ表情を変化させることができます。
■脚部
こちらも腕部と同様、ジムらしいシンプルなデザイン。比較的細身で無駄のない作りになっています。側面と後部ダクトは赤いシールでの色分け。膝のグレーパーツはABS素材です。
大腿部、膝から下共に左右の簡単な組み合わせで前後に合わせ目ができます。膝から分離するので合わせ目消しはラク。アンクルアーマーも左右の組み合わせで中央に合わせ目ができますが、こちらを処理する場合は後ハメなどの加工が必要そうですね。
ソールは3枚構成のスリッパ型。特に可動ギミックはないですが、ボールジョイントとポリキャップを前後に組み合わせるようになっているのが特徴です。
足裏は細かなモールドが入った裏打ちパーツで蓋をするため、肉抜き穴などは一切ありません。足裏中央のスラスター部分はグレーに塗り分けが必要。
■バックパック
背部をコロニー戦仕様のジム・コマンドと並べて比較。コロニー戦仕様が丸みと角みを併せ持つ近未来的なデザインなのに対し、宇宙仕様は角型で各面にバーニアを配置。無重力の宇宙空間における機動性を重視したような作りになっています。
バックパック本体は簡単な2枚パーツ構成ですが、合わせ目はほぼ見えない構造。各部バーニア内部は赤く塗り分けが必要です。
背部バックパックは細身の4ダボ接続でコロニー戦仕様と共通。ただしコロニー戦仕様はバックパック内側が肉抜き状態だったのに対し、この宇宙仕様はパーツでしっかりと蓋されています。
■他キットとの比較
HG陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べて大きさを比較。ほぼ陸ジムと同じ大きさになります。ジム・コマンドの全高は18.0mの標準サイズ。
HGUCジム・コマンド(コロニー戦仕様)と並べて。バックパック以外の形状は全く同じ。カラーリングが異なる分、配備される場所の違いがわかりやすいかなという感じです。赤と白のカラーリングなのは宇宙艦隊の独立機動軍カラーとかなんとか・・・。
フォーマットが同じHGUCジム寒冷地仕様と並べて。同時期に発売されたキットで同じジムD型の系譜を持つため、部分的な形状がよく似ています。
MGジム・コマンド(宇宙戦仕様)とサイズを合わせて比較。HGUCとMGでは胴体部のバランスが異なるのと、MGのほうが情報量が多め。好みは分かれそうですが、どちらもそれぞれの良さはありますね。
HGUCとMGをそのままの大きさで並べて比較。
ジム・コマンドと同じ後期生産型であるHGUCジム改、HGUCジム・カスタムと並べて。フォーマットは異なりますが、プロポーションに大きな差はありません。
HGUCザクⅡ改と並べて。劇中であまり目立っていたわけではないですが、0080の数少ない戦闘シーンを再現するためにもこの2体はぜひ入手しておきたいところです。
■各部可動域
各部可動域はHGUCジム・コマンド(コロニー戦仕様)と全く同じ。頭部はわずかに上下する程度です。胴体部に前後への可動ギミックはなし。腕は水平まで上げることができます。肘は1重関節で90度程度まで曲げることが可能。
腰は干渉なく360度回転させることができます。膝は2重関節で90度以上に曲げることが可能。足首の前後可動もまずまず広め。
股間部がボールジョイントなので、左右への開脚はハの字程度までと制限されます。足首の左右への可動もさほど広くはありません。HGUCとしては比較的初期のフォーマットなので、全体的な可動域は広いとは言えません。ですが狭いという程でもないので、可動をうまく使えば劇中程度のポーズは再現できるかなというところです。
可動域の詳細は以下のリンクから、HGUCジム・コマンド(コロニー戦仕様)のレビューをご参考くださいm(_ _)m
■武装類
ビーム・ガン。1年戦争後期にGM系の量産機に配備された武装の改良型になります。規格はビーム・スプレーガンに相当するが、エネルギーパックの設計コンセプトが独自のものなので他の機体との互換性に乏しいとのこと。後部にEパックを持つ円筒型のビームガンになっています。後部Eパックは赤と白に塗り分けが必要。
簡単なモナカ割で上下に合わせ目ができます。モールドは適度にデザインされていますが少しもっさりとした感じ。できれば彫り込むなどしてシャープ化したいところです。
HGUCジム・コマンドのブルパップ・マシンガン、MGジム・コマンドのビーム・ガンと並べて比較。
シールド。機体の装甲材とほぼ同じ材質を使用しているが、堅牢さよりも衝撃吸収、拡散に特化した形状と表面処理が施されているとのこと。よくみられる連邦の曲状シールドですが、中央には連邦エンブレムのモールドも造形されています。連邦モールドはイエロー、左右のマルイチモールドはグレーに塗り分けが必要。
裏面。簡単な作りですが、肉抜き穴などはなく適度にモールドがデザインされています。下部にはブルパップ・マシンガンのマガジンもモールド化されています。グレーに塗り分けが必要。
一通り武装して。
ビーム・ガンは一旦武器持ち手の手甲パーツをバラし、グリップを握らせて保持します。特にダボ固定ではないですが、多少ふらつくかなと言う程度で問題なく保持できます。トリガーに指を添える形でうまく引っかかるのも良いですね。
シールドを保持する場合は、まず付属のジョイントパーツを前腕に組み付けます。そしてハンドパーツにグリップを差し込んでからジョイントパーツとシールドを組み合わせます。
ジム特有の素朴さと、近未来的なデザインで後期生産型として進化した感じが上手く表現されています。カラーリングや配色もバランスが良く、ジムの後継機らしさが随所に感じられて良いですね。
シールドはグリップとボールジョイントの2箇所で固定するため、しっかりと保持することができます。上腕をロールさせれば前向きで覆うように防ぐことも可能。ジム定番のビーム・ガン、シールドを組み合わせた攻防ポーズを再現することができます。
股間部に3.0mm穴はないため、浮かせてディスプレイさせる場合はアクションベースなどに付属しているコの字パーツを股間部に組み付けます。多少ふらつきがあり、キットを傾けると外れて落下することがあるので注意。
それと、コの字パーツを挟むと左右への開脚が制限されるのでポーズが地味になりやすいところがあります。うまく調整して良いポーズを取らせたいところです。
ビームサーベルを装備して。ビームサーベルはハンドパーツと一体になっているので、右の武器持ち手を組み替えるだけで保持することができます。
スルッと抜けたりふらついたりすることもないので取り扱いがかなりラク。ただし白一色なので、指をグレーに、ビーム刃をピンクグラデーションに塗り分ける必要があります。
腰がしっかりとロールしますし、肘膝関節も適度に曲がるのでサーベルを振り下ろすポーズも無難に再現してくれます。むしろ無駄な可動がないぶん、取り扱いやすいというメリットがありますね。
平手が付属するのでポーズに表情が付きます。グワッと開いたような厳つい感じではありますが、力強さは表現できて良いかと。
リアアーマーのサーベル柄と他キットのビームサーベル刃を組み合わせれば、塗装不要のビームサーベルとして使用することができます。今回はHGUCパワードジムのサーベル刃を拝借しました。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。近未来的な容姿とジムの素朴感を併せ持つ、魅力的で味のあるキットになっています。価格も安価で手に取りやすく、パーツ構成もシンプル。組み立てやすいのでガンプラ初心者の方でも手軽に手を出せるのが良いですね。ガンダムやガンプラの魅力を感じて深入りしたい方にも持ってこいだと思います。
気になる点はそんなにないですが、古いキットなのでビームサーベルがハンドパーツと一体だったり、合わせ目が多かったりというのはどうしてもありますね。ですがまぁこのあたりは価格を考えると許容範囲かなと。
ジム・コマンドの良さが十分に表現されていますし、宇宙用バックパックやビーム・ガンなども個性的に造形されています。赤と白のカラーリングも連邦所属機らしくインパクトがありますね。どうしてもガンダムタイプに惹かれがちですが、地味でもガンダムの脇を固めてくれる、世界観を広げてくれるキットなのが良いですね。
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1件のコメントがあります。
taka:安藤隆浩
on 2024年6月22日 at 02:21 -
こんにちは。こんばんは。
ジムキャノンⅡもですが昔はゲームに登場しても弱い上に
ツインアイではない量産系のバイザーで格好悪いと思っていたけど
MGを見ると細かいモールドや分割された装甲を見ると
これはこれで格好良いと見る目が変わっている事に気付く
シンプルなプロポーションですがねカスタムの余地があって
良いですよね。ジムカスタムはMGで発売されていますが
ジムキャノンⅡもMGで発売してほしいですよね。
ジム・コマンドのMGを見たら、そう思ってしまいました。