今回は、HG 1/144 ガンダムG40 (Industrial Design Ver.)のレビューをご紹介します!
HG ガンダムG40 (Industrial Design Ver.)は、2019年の「機動戦士ガンダム40周年」および2020年の「ガンプラ40周年」を記念して作られた、工業デザイナー奥山清行氏×演出家・映画監督松尾衡氏デザインによる「ガンダムの1/144スケールモデルキットです。価格は3,300円(税込み)。
「記憶の原点」と称し、人間らしいフォルムや動きにこだわりつつ、リアリティの伴う構造を追求。18mのMSを通常の工業製品と同様のデザイン製作工程を踏み、3Dで設計しながら検証を重ねたキットになっています。
成型色はややクリーム味のあるホワイトを基調に、レッドやイエロー、淡いブルーを交えたトリコロールカラー。特異なデザインに目がいきますが、カラーリング自体は意外とシンプルです。その他、ハンドパーツはグレー、頭部やバックパック、武装類はダークグレー成形色での再現となっています。
シールは頭部ツインアイととさかのライン型センサー、腰のV字を補うくらいで少なめ。ツインアイはパープルとイエローのものが付属し、お好みでチョイス可能です。部分的に塗装は必要ですが、素組みでも十分な仕上がりになります。説明書にカラーガイドの記載はなく、後述するアートブックに記載されています。
一部のパーツにはKPSが使用されています。ABSは不使用。
ポリキャップも不使用。関節含め、全てパーツによる組み合わせになっています。肘や膝関節はPSパーツ構成で関節強度はまずまず高め。脚底の接地性も高く、体型バランスが良いので自立は安定しています。
■付属品
シールド、ビーム・サーベル刃✕2、ビーム・ライフル、武器持ち手(右)、平手(左右)、手首パーツ(予備)が付属。
パッケージは2重底になっていて、最底には特製アートブックが封入されています。アートブックはこのガンダムG40制作に関するデザイナーズコメント、デザイン画などが収録されるなど、興味深い内容になっています。
■頭部
頭部。ガンダムのベーシックな部分は崩さずも、やや特異的な雰囲気のデザインで造形されています。メット部は左右挟み込みタイプですが、合わせ目はひさしに少しできるくらい。
後部中央の合わせ目もモールド化。左右のダクトやバルカンはパーツで色分けされているので塗り分けがしやすそうですね。
ツインアイもクマドリなどがパーツで細かく色分けされています。バルカンのふちはイエローに塗り分けが必要。とさかは全体にセンサー用?のシールを貼るようになっています。
■胴体部
胴体部。通常のガンダムと同じ配色ですが、やや未来的なデザインで造形されています。エアインテークやコックピットハッチ、腰のヘリウムコアなどもパーツによる細かな色分けを再現。
腰中央のV字はモールドの上からシールを貼っての色分けでパーツ分割はされていません。胸部、腹部ともに側面に合わせ目ができます。
胸部内部。襟は上下に展開可能。肩も上下に展開したり、前後にスライドするギミックがあって構造が特殊です。
こちらが肩の前後スライドギミック。
腹部は複数ボールジョイント型パーツによる緻密な組み合わせで、グニャリと曲がるような構造になっています。
腰アーマーは各部とも展開するような構造にはなっておらず、装甲裏にも裏打ちパーツやモールドなどの造形はありません。
腰部は四方各面のアーマーが分割されたものではなく、股間部がスライド展開するギミックが搭載されています。可動も柔軟で、少ないパーツ数ながらも複数の可動部を持った特殊な構造になっています。
■腕部
腕部。白一色ですが、可動箇所が多く複雑な構造になっています。どことなく人間の筋肉を意識した感じも。
腕部の内部構造。一般的なHGとは異なるフォーマットで独特。
上腕は筒型で合わせ目はなし。前腕は左右挟み込みタイプで前後中央に合わせ目ができます。全体が白成形色なので、そのまま合わせ目を消すだけで良さそう。手首には可動軸があり、上下にスイングさせることができます。
肘関節はロール可能。前腕も少しですが左右に可動するなど、ポーズにより柔らかく自然な表情を付けることができます。
ショルダーアーマーは前後挟み込みタイプですが、合わせ目は端でモールド化されていて見栄えが良いです。側面のスラスター上下に可動。ふちを黄色、内部をグレーに塗り分ける必要があります。
■脚部
脚部。こちらもさほど奇抜なデザインではないですが、未来的且つ程よくまとまりのあるデザインになっています。膝の一部装甲はイエローパーツによる色分け。
脚部構造。脚部も腕部と同様、これまでのガンプラにない独特のフォーマットで可動ギミックが集約されています。
脚部の付け根は大腿部側がスライド展開します。大腿部は前後の組み合わせですが、左右にできる合わせ目はモールドとしておいても良いのかも。
ふくらはぎの付け根も少し左右にスイングします。アキレスの装甲は上下に可動。ふくらはぎから下は前後挟み込みタイプですが、側面の合わせ目は段落ちモールド化されているようです。
ソール部。形状はシンプルなスニーカータイプですが、複数の可動箇所が確保されています。脚甲の装甲は柔軟に可動します。
足裏は3分割され、各部中央にはバーニアが造形されています。バーニア内部は黄色に塗り分けが必要。
■バックパック
バックパックもRX-78-2とは少し異なり、左右のサーベルホルダーが下向きになっています。ですが付け根が可動するので上向きにすることもできます。バーニア基部も可動箇所が2箇所あり、幅広く可動させることができます。バーニア内部は黄色く塗り分けが必要。
バックパックは2ダボ接続ですが、間隔が狭いので他のHGキットバックパックを取り付けることはできないようでした。
■他キットとの比較
HG陸戦型ジム、HGルプスレクスと並べて。サイズはジムなどとほとんど同じですが、デザインにはかなりの違いがあります。例えて言うなら陸ジムが重機的な車両で、G40がコンセプトカーといった感じ。
通常のHG RX-78-2ガンダムが手元にないので、手元にあって一番カラーリングが近そうなイーグルスバージョンと並べて。G40はデザイン的にに好みが分かれそうです。
その他のRX-78-2(HG ガンダム [BEYOND GLOBAL] :画像左、HG RX-78-2 ガンダム[2020年ドバイ国際博覧会 日本館PRアンバサダー] :画像中央)と並べて。各種とも個性的なデザインをしていますが、このG40 (Industrial Design Ver.)は中でも抜けてデザインが特殊ですね。
■可動域
頭部は高くまで見上げる動きが可能。ただし上げすぎると少し不自然さが出てくる場合もあるので注意です。左右へは干渉なくスムーズにスイング可能。頭部を斜めに傾けるような動きも再現することができます。
肩は真上くらいにまで上げることができます。肘は完全に曲げることはできずV字程度まで。
肩は付け根ボールジョイントで少し前後する程度です。
腹部の可動ギミックにより、上半身を幅広く前後させることができます。
腹部を上下に引き伸ばすことで、グニャリと曲げることもできます。人間らしい動きが再現できるので動かしていて面白くなってきますね。赤い装甲が固定されていないため、少しフラフラすることがあるので注意です。
腰は干渉するため45度程度しかロールしません。アクションベースやスタンドを使ってディスプレイさせる場合は、股間部にコの字パーツを挟みます。3.0mm穴がないのはちょっと残念。ここだけ原始的な感じになっていますね。
前後開脚は前後とも水平程度まで展開が可能です。
ただし通常のガンプラのように腰アーマーを展開するのではなく、腰内部や大腿部をスライドさせ、腰アーマーを避けるようにして開脚するという独特のスタイルになっています。
膝は深くまで折り曲げることが可能。膝の裏打ちパーツはさほどしっかりとしたものではないですが、膝内部にスライドギミックが仕込まれるなど、通常のガンプラとは異なる構造になっています。
足首は前後左右とも適度に可動させることができます。
左右への開脚は水平まで幅広く展開可能。
こちらもサイドアーマーを開いて開脚するのではなく、腰アーマーをかわすように内部をスライドさせて開脚するようになっています。
内股、がに股は幅広く展開可能。そのまま脚の付け根を回転させるだけだと股間部が干渉しますが、一旦内部をスライドさせて引き出すことで水平などに展開させることができます。
腰回りが柔軟で膝も深くまで曲がるので、かなりコンパクトな立膝を再現することができました。
可動域の総括としては、多少可動や姿勢に不自然さはありますが、可動に関するアイデア性の高さがスゴイと思います。これまでのガンプラの概念を覆すような、独特の可動ギミックを持っているので面白さがありますね。それでいて柔軟なので、あらゆるポーズに対応してくれそうです。
■武装
シールド。通常のものとは一味違ったデザインで、十字やシールドののぞき穴などもパーツで細かく色分けされています。裏面も細かく別パーツ化され、モールドなどもしっかりと入っていてリアル。
上下のグリップは可動式。説明書に記載はないですが、ジョイントパーツは位置を中央に組み換えることができるようです。
シールドはグリップをハンドパーツで挟み、ジョイントパーツを前腕に組み付けて保持します。2箇所で固定できるので保持強度は高め。バックパックにもマウントすることができます。
ビーム・ライフル。シルエットはRX-78-2のものと似ていますが、細部にこだわりを感じるデザインになっています。
左右挟み込みタイプで上下に合わせ目ができますが、黒いのでほとんど目立ちません。
センサーやフォアグリップは左右に可動。センサーはイエローパーツでの色分けとなっています。一旦はめ込むと抜きにくいので、仮組み時には注意が必要。
フォアグリップは左右に向けたあと、さらに前方に可動させることができます。
■ポージング
一通り武装して。
ビーム・ライフルはグリップとハンドパーツをダボ固定させるため、ふらつくことなくしっかりと保持させることができます。
つま先がヘタれてくると素立ちが少し前のめりになってくるので注意です。あまりに弱々しく感じる場合は、つま先を少し引っ込めて固定してみると良いかも。
接地性も高く、自立状態でのポーズも難しくはありません。柔らかい印象のポーズが再現できるのがいいですね。
立膝も全く苦しい感じがなく、サクッと深くまで腰を落とすことができます。他のガンプラにはない圧倒的な表現力がありますね。
グリップの可動範囲が広く、腕部の可動も柔軟なので、ビーム・ライフルの両手持ちも難なくこなせます。
ビームサーベルを装備して。ビーム刃はクリアピンク成形色での再現。サーベル柄がグリップに隙間なく収まるので、特に抜け落ちることなくしっかりと保持ができています。
シールドの持ち方を変えて。シールドの基部を握らせることで、通常とは異なる持たせ方ができます。なので画像のように前方に突き出してディフェンスするようなポーズも演出することができます。
適当に何枚かどうぞ。
以上です。これまでのフォーマットを大きく覆し、より人間らしいリアルな造形、構造で再現されたキットになっていると思います。デザイン的に好みが分かれそうではありますが、各部の可動が特殊且つ新鮮。パーツによる組み合わせも細かいですし、未来的なデザインで見ても動かしても楽しめるのが良いですね。
気になる点としては、可動域箇所が多く柔軟な分、各部の組み合わせが繊細でデリケートなところがあります。なので組立時などに破損させないよう注意が必要。小さいパーツも多く、ダボ(軸)がゲートになっている箇所もあるので、誤ってカットしないように注意が必要です。
生産数が少ないようで既に入手が難しいかもしれませんが、特製アートブックを含め40周年を記念した限定ガンプラとして、独特の表現を見せるこのG40をぜひ手元に置いて楽しんでもらいたいですね。(一部パーツの組み合わせが間違っているところがありますがご了承くださいm(_ _)m)
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5 件のコメントがあります。
774
on 2019年12月14日 at 02:46 -
デザインは面白いと思いますし可動も良いと思いますがその代償なのか、
目立つ場所(特に上腕とわき腹)に合わせ目が出ているのは少々残念
あとは価格ですかね、1/3くらいはデザイン料なのかな…
GUNHED
on 2019年12月14日 at 09:32 -
G40の稼働ギミックを使った今までのデザインのガンダム達が見たいですね。また少し違うモノになるのではないでしょうか?
らいりゅ
on 2019年12月14日 at 10:26 -
可動範囲がとても良いけれど
会わせ目が(T-T)
匿名
on 2022年10月15日 at 17:26 -
G40の稼働ギミックを使った今までのデザインのガンダム達が見たいですね。また少し違うモノになるのではないでしょうか?
G40の稼働ギミックを使った今までのデザインのガンダム達が見たいですね。また少し違うモノになるのではないでしょうか?
on 2022年10月15日 at 17:26 -
G40の稼働ギミックを使った今までのデザインのガンダム達が見たいですね。また少し違うモノになるのではないでしょうか?